【動画】小笠原諸島に生まれた新島

 【工藤隆治】東京の南1千キロ、小笠原諸島に新たな島が生まれた。名前はまだない。今後、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)は広がるのか。27年ぶりの新島の出現に関係者の期待は膨らむが、過去には現れてすぐに消えた島もあり、夢に終わる可能性もある。

 海上保安庁が21日昼に上空から観測したところ、前日に直径200メートルだった島は、長さ400メートル、幅200メートルに成長した。噴煙も前日の1・5倍の高さ900メートルまで達していた。

 「海の憲法」と言われる国連海洋法条約は、島について「自然に形成された陸地で、水に囲まれ満潮時でも水面上にある」と定義する。今回は小笠原諸島にある西之島の南南東約500メートルの領海内に現れ、内閣官房総合海洋政策本部によると、明らかに日本の主権の及ぶ島だという。

 名前はどうなるのか。同本部は「消滅せず安定してからの話」と慎重だが、地図や海図に名前が書かれていない島の命名と同じ手続きで、まずは地元での呼び名を市町村に照会する。東京都小笠原村は「何もなかった海なので、名前はない」としており、政府が名前の候補を挙げることになりそうだ。1973年に近くにできた島は「西之島新島」と命名され、その後に西之島と陸続きになった。