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最終更新:2013年11月30日(土) 18時46分

中国「防空識別圏」 “初スクランブル”の波紋

 中国が23日、防空識別圏を設定し、不測の事態の発生も懸念される東シナ海上空。29日、中国空軍は、この防空識別圏の設定後初めて、スクランブル=緊急発進をしたと発表しました。

 中国軍によりますと日本のF15戦闘機などの自衛隊機10機とアメリカの偵察機など2機が、防空識別圏内に入ったことを確認したとして、主力戦闘機のスホイ30や殲11などを「緊急発進」させたということです。

 しかし、一夜明けて日本政府は・・・。

 「中国側が発表したような急に航空機が接近してくるとか、特異的な状況ということを公表するようなそういう状況ではないと」(小野寺五典防衛相)

 小野寺大臣は記者団に対し、中国軍による緊急発進はなかったという見解を示しました。そして、日中双方が「互いに冷静に対応することが大切だ」と強調しました。

 中国国防省が防空識別圏の設定を発表して一週間。中国側は、この空域を飛ぶ航空機に対して事前の通告を求め、命令に従わない場合、軍が「防衛的な緊急措置」を取るとしています。これに対し、いち早く反応したのがアメリカでした。

 「(中国の防空識別圏設定は)地域の緊張を高め、誤算、衝突、事故などのリスクを高める」(アメリカ国務省 サキ報道官)

 26日には、「以前から計画されていた」として、B−52爆撃機2機を中国側への事前通告なしで飛行させたとアメリカ国防総省が発表。29日、中国側が発表した緊急発進についても国防総省は改めて「通常どおり軍事活動を行っており、今後も続けていく」として中国側の要請には対応しない)>l$r<($7$F$$$^$9!#

 「日本国の主張と真っ向から違う。国際的な法的秩序にも反するものである」(自民党 石破 茂幹事長)

 こうした中、自民党の石破幹事長は「アメリカとも協力して、認めないということを厳然とやっていく」と語りました。

 しかし、こうした中、アメリカ側に新たな動きがありました。ニューヨーク・タイムズ紙の電子版が29日、アメリカ政府が民間の航空会社に対し、防空識別圏内を飛行する際に、「事前通報を義務付ける」とする中国当局に従うよう指導する方針を固めたと報じました。そして、この対応について、アメリカ政府高官は「民間人を巻き込む事故や不測の事態が起きることを懸念したため」と説明しているといいます。さらに国務省は、こうした方針は「中国政府が求める事前通報などを、アメリカ政府として承諾したという意味ではない」と強調していますが・・・。

 (Q.(飛行計画の)提出をする必要はないと? )
 「そういうことです」(菅 義偉官房長官)

 これに対して日本政府は26日、日本航空と全日空などに対し、中国側に飛行計画を提出しないよう文書で要請しており、民間航空会社に対する日米間の対応の違いが明らかになった形です。

 防空識別圏をめぐる緊張。各国の複雑な駆け引きがいまも続いています。(30日16:52)

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