JR東日本は11月29日、ICカード乗車システム「Suica(スイカ)」のサービスを一部利用できる駅を増やすとともに、大都市近郊区間を新設・拡大すると発表した。2014年4月1日の初列車から実施する。

Suicaのサービスが一部利用できるようになる駅は33駅。首都圏エリアは15駅で、中央本線の長坂・小淵沢・富士見・茅野・上諏訪・下諏訪・岡谷・塩尻各駅、小海線の清里・野辺山各駅、篠ノ井線の松本駅、水郡線の上菅谷・常陸太田・常陸大宮・常陸大子各駅で利用できるようになる。

仙台エリアは11駅がSuicaサービスに一部対応。東北本線の一ノ関・平泉各駅、仙山線の作並・山寺各駅、磐越西線の磐梯熱海・猪苗代・会津若松・喜多方各駅、奥羽本線の山形駅、陸羽東線の古川・鳴子温泉各駅が対象となる。新潟エリアでも上越線の小千谷駅、信越本線の宮内・柏崎・直江津各駅、羽越本線の中条・坂町・村上各駅の7駅がSuicaの一部サービスに対応する。

現在のSuica各エリアと今回利用可能になる33駅との間を乗車する場合、または今回利用可能となる33駅の相互間を乗車する場合、各エリアごとにSuica、またはSuicaとの相互利用を実施している交通系ICカードを利用することができる。33駅ではSuicaの発売や払い戻し、再発行は行わず、33駅を含むSuica定期券も発行しない。

これに伴い、JR東日本の大都市近郊区間も新設・拡大する。仙台エリアでは新たに「仙台近郊区間」を設定。東北本線矢吹~平泉間と東北本線支線(利府支線)の全線、磐越東線船引~郡山間、磐越西線郡山~喜多方間、奥羽本線福島~新庄間、常磐線原ノ町~岩沼間、仙山線全線、左沢線全線、仙石線全線、陸羽東線全線、石巻線全線を近郊区間にする。

東京近郊区間は、中央本線韮崎~塩尻間と中央本線支線(辰野経由)全線、篠ノ井線塩尻~松本間、小海線小淵沢~野辺山間、水郡線水戸~常陸大子間、水郡線支線の上菅谷~常陸太田間を近郊区間に加える。新潟近郊区間も上越線小千谷~宮内間と信越本線直江津~長岡間、越後線柏崎~吉田間、羽越本線新発田~村上間が新たに加わる。

大都市近郊区間内のみ普通乗車券や普通回数乗車券で利用する場合、実際に乗車する経路に関わらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することできる。仙台駅から東北本線、福島駅、奥羽本線、山形駅、仙山線を経由して東照宮駅(仙台駅の隣)に向かう場合、現在の運賃は経路通りに計算して3890円になるが、仙台近郊区間設定後は最も安くなる経路で計算して180円(消費税引き上げ前の価格)になる。ただし、いずれの近郊区間も新幹線は含まれておらず、途中下車もできない。

なお、仙台近郊区間の設定に伴い、仙台~小牛田間など4区間について、乗車経路に関わらず短い方の経路の切符で利用することができる特例(選択乗車制度)を廃止する。 《草町義和》