韓国:高校歴史教科書の修正命令 5年ぶり

毎日新聞 2013年11月29日 21時07分

 【ソウル大貫智子】韓国教育省は29日、高校歴史教科書の出版社計7社に対し、計41件の修正命令を出した。修正命令は2008年以来5年ぶり。12月3日までの提出を求めており、従わなければ発行停止などの行政措置を取る方針。

 歴史教科書をめぐっては、保守系執筆者による「教学社」の教科書が8月30日、初めて検定を通過し、論争が激化。教学社の記述が親日的などとされる一方、他の7社は親北朝鮮などとして双方が激しく批判し、教育省は10月21日、計8社の出版社に829件の修正・補完を勧告。出版社側は11月1日、勧告を受けた修正・補完内容を提出した。

 教学社は最多の251件の勧告を受け、これに応じたが、計8件の修正命令が出た。日本の植民地時代の独立運動について、当初「愛国志士は息を殺して過ごすしかなかった」としていたのを「愛国志士は積極的に活動できなかった」と修正した。しかし、教育省は「独立運動を行ってきた民族運動(の評価)を低めるものだ」として削除を求めた。

 他の6社に対しては、北朝鮮に対する記述が多く、北朝鮮の「主体(チュチェ)思想」への説明が「北朝鮮の主張通りで誤解を招く」などとして修正命令を出した。聯合ニュースは、6社の執筆者側は「修正命令は受け入れられない」として法的措置を検討中だと伝えた。

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