佐藤雄平福島県知事は28日、官邸で安倍晋三首相と会い、福島第1原発事故で政府が除染目標としている年間1ミリシーベルト以下の被ばく線量基準の堅持を要望した。
佐藤知事は「事故前の環境を取り戻すことが、どうしても必要だ」と除染の確実な実施を求めた。安倍首相は「要望をしっかり受け止め、検討したい」と応じた。
被ばく線量の評価方法をめぐり、政府は12月、空間線量に基づく推計から個人線量計による実測への転換を柱とした放射線防護策を決定する。実測値は推計値の数分の1になる傾向があり、実質的な除染目標の見直しと指摘されている。
会談後、佐藤知事は「国には県民の不安を除去し、安心できる対策を講じてほしい」と語った。国が前面に立った廃炉・汚染水対策の実施や県内原発の全基廃炉、避難者の生活支援も要望した。