Posted by サンハ on March 20, 1997 at 15:39:40:
In Reply to: つかこうへい『娘に語る祖国─従軍慰安婦編』 posted by 李修二 on March 20, 1997 at 00:29:14:
李さん、はじめまして。サンハといいます。
僕は、李さんの話とちょっと関連した話をしたいと思います。過去、現在、そして未来のことです。僕が、アメリカに来て間も無いころ、先生(年は50−60代)に、コリアンの歴史と在日コリアンの現実について、レポ−トを提出したことがあります。たまたま、その先生はユダヤ系アメリカ人(移民3世代目)でした。後で個人的に返してもらったレポ−トには、こんな事が書いていました。<君は絶対、過去の歴史を忘れてはならない。絶対に。でも忘れろ。心の奥にしまっておけ。君に必要なのは勇気だ>、と。僕はこの文を読んで、この先生はたいへん勇気のある女性だと思いました。この先生のまわりに、もう家族はいません。一人暮らしです。軍人だった弟は、戦争で亡くなりました。アパ−トの部屋の壁には、たくさんの生徒の写真が飾られています。寂しいんでしょう。
第二次大戦中、ユダヤ人はドイツ人にメチャクチャにされました。これは、映画でもおなじみです。コリアンもそうです。植民地化というのは、甘いものではありません。在日コリアン1世から直接、過去の話を聞いたとき、背筋がぞっとしました。スピルバ−グの<シンドラ−のリスト>の世界と似ています。日本各地で、朝鮮半島で、いろんな事が起こりました(迫害や強制労働などなど・・・)。
現在の事なんですが、まず必要なのは、具体的な戦後処理の問題です。まだまだ積極的ではないと思います。ドイツ政府は、早い段階で、積極的な戦後処理を行いました。日本政府は、戦後処理で過去の事実を消そうとしました。従軍慰安婦の問題もそうです。ニュ−ヨ−ク・タイムズの日曜版に、シンガポ−ルの新聞の日本政府に対する風刺画がありました。政治家が椅子に座って、テ−ブルの上にある過去の戦時デ−タを消しゴムで消そうとしている風刺画です。国際世論は、日本政府の態度をまだ認めていないということです。歴史を歪曲することは悪です。いろんな解釈をしても意味がないでしょう。アメリカでジャパン・バッシングが、ジャパン・ナッシングに変わったのも、日本政府が国際社会の場で積極的な姿勢を見せないからでしょう。日本系企業はいつも可哀相です(ホント可哀相)。つかこうへい氏の話は実際にあったのかもしれませんが、肝心なことは、政府がこれを利用しないことです。過去において、コリアンが悲惨な目にあった事は事実です。
未来の事なんですが、在日コリアンは、勇気と我慢が必要です。たしかに、日本政府の戦後処理が延々長引いていますが、なによりも大切な事は、平和です。未来のビジョンも同時に描くことは、大事だと思います。それは日本の方と一緒に描くものだと思います。国際化・交流において、両市民同士の争いは禁物だと思います。権利のための主義主張は別として、なによりも平和交流が大事です。<過去を絶対忘れるな。でも忘れろ>と先生はそう、助言してくれました。人と人との親密な交流がなによりも大切なんだ、と言いたかったのかもしれません。
僕は、日本の方といつまでも、仲良くしていきたいと思っています。
そして、一緒に永遠の平和(共存共栄)を築いていきたいと思います。
サンハ
from Philadelphia, USA