特定秘密保護法案を考える:県内、抗議行動相次ぐ 参院審議入り受け デモや声明、座り込み /石川
毎日新聞 2013年11月29日 地方版
国家機密の漏えいに厳しい罰則を設けた特定秘密保護法案が衆院を通過し、参院で審議入りしたことを受け、県内では28日、「国民の知る権利が奪われる」などとして市民グループが座り込みを始めたり、宗教団体の関係者が声明を発表したりするなど相次いで抗議の意思を示した。
金沢市広坂の中央公園内では、同日午前中から「県憲法を守る会」が座り込みを始めた。約20人が参加し、同会代表委員の岩淵正明弁護士が「廃案に追い込むまで頑張ろう」と呼び掛けた。県平和運動センターの細野祐治代表は「行政が(情報を独占することで)立法や司法を牛耳ってしまう危険性がある。廃案に向けて声を上げていく」と訴えた。
座り込みの参加者は風雨をしのぐテントを設営。防寒着姿でテント内に陣取った。時折風雨にみぞれが混じる悪天候の下、参加した50代女性は「寒さに負けていられない。特に若い人たちに、市民も処罰される恐れのある法案の危険性を知ってほしい」と話した。座り込みは今国会会期末の12月6日まで、毎日午前9時〜午後5時に行う予定。
同日夜には、ツイッターやフェイスブックを通じて集まった人らによるデモ行進があった。約50人が中央公園を出発し、シュプレヒコールを上げながら歩いた。参加した同市三口新町、自営業、庭山保夫さん(57)は「どの情報が秘密に指定されたかすら分からないなら、法に違反した内容も分からないまま処罰される恐れがある」と危機感を訴えた。
また、金沢弁護士会(西井繁会長)所属の弁護士約10人がこの日の夜、金沢市香林坊の百貨店前に立ち、チラシを配りながら「知る権利、報道の自由が失われる恐れがある」などと通行人に訴えた。渡辺数磨弁護士(34)は「国民の多くは法案の中身を知らないし、国会審議も拙速。裁判によっては(国が持つ)情報が隠され、弁護活動が成り立たなくなる恐れがある」と話した。
一方、仏教やキリスト教などの各宗派でつくる県宗教者平和協議会(河崎俊栄理事長)は同日、金沢市内で記者会見を開き、抗議声明を発表した。声明文では「罰則で目や耳、口がふさがれ、国民は安心して生きていけるのか」などとして廃案を求めた。会見で同協議会の田口昭典代表委員は「一部の人によって秘密にする情報が決められ、国民から隠されることで国家が進路を誤る恐れがある」と批判した。