防空識別圏:中国「緊急発進」発表…日本側は否定
毎日新聞 2013年11月29日 23時39分(最終更新 11月30日 03時54分)
【北京・石原聖】中国国防省は29日夜、中国空軍が同日午前、外国軍機が沖縄県・尖閣諸島を含めて中国が設定した防空識別圏に進入したため緊急発進(スクランブル)したと発表した。中国空軍の申進科報道官の説明によると、米軍の偵察機2機と、自衛隊の偵察機や戦闘機延べ10機を確認したとしている。23日に中国が設定して以降、スクランブルは初めて。ただ、防衛省幹部は「特異事象は確認していない」と否定している。
発表によると、緊急発進したのは「スホイ30」「殲(せん)11」など主力戦闘機。最初にどの航空機に緊急発進したのかや無線警告の有無などについては、いずれも明らかにしていない。
識別圏は公空なのに中国は事前通報を義務づけた。公空で中国の領空のような強制力を持たせる設定の仕方は無効だとして、日米韓は通常の警戒監視を実施している。これに対抗する形で、中国は28日から、識別圏のパトロールを開始。さらに29日、申報道官は「海軍もパトロールに参加している」と述べたうえで「有効に監視しコントロールしている」と主張した。事実であれば、空中衝突が発生する危険性が現実味を帯びたことになる。一方、日本政府関係者は29日夜、「スクランブルを受けたという報告は聞いていない」と、中国の発表を疑問視。防衛省幹部も「相手にするような話ではない」と述べた。