シリア:化学兵器用弾薬を廃棄 OPCWが報告

毎日新聞 2013年11月29日 11時12分(最終更新 11月29日 11時39分)

 【ブリュッセル斎藤義彦】化学兵器禁止機関(OPCW)のウズンジュ事務局長は国連安保理に対し、シリアが化学兵器を運搬する弾薬を全て廃棄したと報告した。これでシリアは化学兵器による攻撃能力を失った。弾薬に詰める化学物質約1290トンについては、シリアから船で搬出するのに備え、安全性の高い特別な容器をヨルダンに集積し、準備を進めていることを明らかにした。

 事務局長の25日付の報告書によると、シリアは化学物質の詰まっていない空の弾薬を1260個保有していると報告、当初の報告より30個分上方修正した。そのうえで、18日までにすべての弾薬を廃棄したと報告した。

 シリアの化学兵器を全廃する9月の米露合意から約2カ月でシリアは化学兵器による攻撃能力を失った。

 OPCWは査察官14人を継続して派遣。弾薬の廃棄について約6割の検証を終えており、引き続き全廃を確認する作業に取り組む。

 OPCWは現在、化学兵器のシリアからの搬出に備え、特殊な容器のほか、封印や追跡装置の設置、サンプル採取などにより、化学兵器がもれなく運ばれるように技術的な準備を進めている。

 また事務局長は米英独伊や韓国など16カ国が査察のための基金に約1700万ユーロ(約23億円)を拠出することも報告した。

 一方、AP通信によると、米国は地中海の公海上に米輸送船を浮かべ、移動式の処理施設2基を設置、化学兵器の加水分解を行うことをOPCWに提案している。化学兵器処理の受け入れ国が決まらないため、公海を処理場所に選んだという。ただOPCWはまだ最終決定はしていない。

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