秘密保護法案:国内の懸念を報道 海外メディア

毎日新聞 2013年11月27日 21時21分(最終更新 11月27日 21時37分)

衆院本会議で特定秘密保護法案が可決され、拍手する安倍晋三首相(中央)=国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承撮影
衆院本会議で特定秘密保護法案が可決され、拍手する安倍晋三首相(中央)=国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承撮影

 衆院を通過し27日に参院で審議が始まった日本の特定秘密保護法案に関し、海外メディアは日米同盟や日本政府の情報管理強化を目指す動きと分析しつつ、報道の自由の侵害につながりかねないとの国内の懸念も報じた。

 米AP通信は26日、日本と情報共有を強化したい米政府は法案の衆院通過を歓迎していると報道。一方で、当局が報道の自由を制限し軍国主義に回帰するかもしれない、との市民の懸念も紹介した。

 ドイツのDPA通信は「安倍晋三首相は、持論の国家主義的政治課題を力で推し進めている。報道の自由の弱体化を招くとの批判もある」と報じた。法案の背景について「日本は従来、穴だらけの情報管理体制を嘲笑され、スパイ天国と言われてきた。安倍首相はそれを変えようとしている」と指摘した。

 中国国営新華社通信は、国会周辺が民衆の抗議に包まれる中で法案が採決された、と伝えた。記事は「日本メディアは政府が任意に『特定秘密』をつくる機会となり、知る権利と報道の自由を侵害される、と見ている」と指摘した。

 国営中国中央テレビ(CCTV)も連日「日本は絶えず、『国家安全』を名目に安保体制を強化している」などと伝えており、日本の国家安全保障会議(日本版NSC)発足の動きと関連づけて警戒感を強めている。

 共産党機関紙「人民日報」は6日、法案について「公務員の口封じ法案」と指摘。「日本で叫ばれる『中国脅威論』の産物」と批判している。【ベルリン篠田航一、北京・石原聖、工藤哲】

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