福島第1原発事故:双葉の5高校存続訴え 避難の保護者ら
毎日新聞 2013年11月27日 20時02分(最終更新 11月27日 23時36分)
東京電力福島第1原発事故の影響で避難対象となり、各地のサテライト校舎で授業を続けている福島県双葉郡内の県立5高の保護者らが27日、文部科学省を訪れ、新設する中高一貫校の検討会に生徒や保護者が参画することや学校存続の可能性を探ることを求める要望書を提出した。5校は大幅に定員割れしており、存続の危機に立たされている。
要望書は、県立5高(双葉、浪江、浪江津島校、富岡、双葉翔陽)のPTA会長と同窓会長名で、前川喜平・初等中等教育局長に提出された。双葉郡8町村の教育長らが7月にまとめた教育復興ビジョンの実現に向け、国、県、地元自治体、生徒、保護者らによる対話の場の早期設置▽ビジョンに基づく中高一貫校新設と、5校の存続が両立する方策を探ること▽一貫校の検討に5校の生徒や保護者、同窓生の思いを反映させることを求めた。
一貫校を巡っては、県内外に避難した郡内の子供たちの帰還を促す観点から、大学進学や国際人養成を意識した教育内容で2015年春をめどに同郡南部に新設し、5校は休校にするとしている。
創立90年の県立双葉高は10月、生徒と卒業生らが討論会を開催。「各界で活躍する卒業生の下で実習を」「環境、農業、科学技術分野で活躍する特色あるキャリア教育を」などと、学校存続のアイデアが続出した。
5校の生徒数は震災前の約5分の1(392人)に減少。双葉高前PTA会長の小野田浩宗さんは「当事者不在の決定に振り回された2年8カ月。古里の自然、祭り、部活動などの伝統を残してこそ、生徒が集まる学校になる」と話す。
26日に同様の要望を受けた県教委高校教育課は「保護者や生徒に中高一貫校の内容決定を伝える場は設けたいが、保護者の意見で左右されては支障が出る。休校についても、中学生の保護者対象のアンケート調査で、生徒が集まらなければ休校にすることは伝えている」と話している。【中尾卓英、深津誠、福田隆】