福島第1原発事故:コシヒカリ全袋検査 すべて検出限界未満 稲作再開へ笑顔 福島・楢葉町
2013年11月27日
福島第1原発事故の影響で水稲の作付け自粛が続く楢葉町で26日、今年度実証栽培されたコシヒカリの全袋検査があった。結果は、すべて検出限界値未満(限界値は、国基準を下回る1キロ当たり60ベクレル)で、2015年春に稲作の本格再開を目指す生産者に笑顔が広がった。
同町では震災前、約400ヘクタール(約500戸)で稲作を行ってきた。原発事故後、警戒区域となり昨夏、一時帰宅が可能な避難指示解除準備区域になったことから今春、除染を済ませた15カ所の田んぼ3・4ヘクタールでコシヒカリを栽培。うちイノシシなど獣害に遭わなかった2・1ヘクタールで約6トンを収穫した。生産者らで試食する分を除き、全量廃棄する。
兼業農家で震災前、1・5ヘクタールで生産していた青木基さん(62)は「天候にも恵まれ、今までで一番の出来。廃棄にむなしさが募るが、収穫の喜びを取り戻す第一歩にしたい」。町農業委員会の小沢公道会長(73)は「除染廃棄物の仮置き場となった田んぼを見るたびに悔しさが抑え切れないが、必ず営農再開を果たす」と話した。【中尾卓英】