“友人”に冷たかった韓国 フィリピン支援めぐり国内からも批判の声
フィリピン中部を襲った台風30号による死者が4千人を超えた。
被災地ではいまだに行方不明者の捜索と被災者の救援活動が続く。各国が緊急支援に乗り出している中で、動きが鈍かったのが韓国と中国だ。中国にとってフィリピンは南シナ海の領土問題をめぐって対立する相手国だが、韓国は米英仏と台湾に次いで国交を結んだ親密な間柄だという。韓国国内でも批判の声が上がり、「被災国への支援や関心を国によって変える韓国」などと題する記事も登場した。
■友人が困ったとき、手を差し伸べるのは少しだけ…
11月8日にフィリピン中部のレイテ島に上陸し、未曾有の被害をもたらした台風30号を受け、韓国は500万ドル(約5億円)の緊急支援を行うことを決めた。14、15日には約8千万円分の毛布やテントなどを現地に送った。16日には輸送機2機をレイテ島タクロバンに派遣している。
その支援について、同13日の朝鮮日報(電子版)に「被災国への支援や関心を国によって変える」と題するコラムが載った。
支援額はこれまでのところ、米国が2千万ドル、英国が1600万ドル、そして日本が1千万ドルを表明。記事では、まず支援額の少なさを指摘した。
韓国は、フィリピンとはいち早く国交を結んだだけでなく、1950年からの朝鮮戦争でも兵士の派遣を受けた。経済的な結びつきも強い。貿易総額は2012年で115億ドル。韓国からフィリピンへの投資総額は10億ドルにも及ぶといい、記事はフィリピンのことを「東南アジア諸国連合(ASEAN)で、最も親韓的」と表現している。
大切な友人であるにもかかわらず、迅速な手助けができず、困った友人への関心も低かったというのだ。
その後、民間主導の募金や支援などは散見されているが、政府の対応について「国全体が悲しみに包まれた友好国への支援としてはかなり小規模」と指摘。「苦しみにあえぐ友好国に対する人道支援や関心という点からすれば、国によって関心の度合いを変える必要はない」とまで断じている。
また、別の記事では、12年に韓国が世界のODAの約1%に貢献したものの、緊急支援などの人道支援額は0・2%で、財政危機に陥っているギリシャやポルトガルより低かったという国連の報告を紹介している。要するに、ケチな上に、友人を思いやる心に欠けているということだ。
■交渉下手の独り善がり
大人げないと言えば、11月13日に行われた朴槿恵大統領と、プーチン露大統領の会談では、プーチン氏の遅刻に韓国メディアが噛(か)みついた。
朝鮮日報によると、プーチン氏は当初、12〜13日に訪韓予定だったが、直前に13日だけに予定を変更。厳しい日程の中で首脳会談は行われたが、プーチン氏は経済関係者のイベントに急遽(きゅうきょ)出席したり、ホテル出発時に、ロシアの国技サンボの韓国団体の関係者から歓迎を受けたりするなどして、首脳会談の会場に予定時刻を30分遅れて着いた。
プーチン氏は遅刻の常習犯で、昨年はオバマ米大統領、メルケル独首相との会談に遅刻するなどしている。もちろん、プーチン氏の行為は外交上、礼儀を逸した行為だ。ただ、開始予定を意図的に遅らせ、相手を焦(じ)らせることで、自ら主導権を握るのも“闘い”の手法だ。時間をどう使うかも交渉ごとの智恵のひとつだからだ。
首脳会談後の歓迎昼食会は、夕食会といっていい午後5時前に始まったという。その際、朴大統領は「おなかも空いていらっしゃるのでは…」と首脳会談を切り上げたとされる。
首脳会談を“闘い”の場と見立てれば、プーチン氏のやりようにいちいち反応するのは、大人げない。朴大統領が遅刻を指摘し、プーチン氏にピシャリとクギを刺すことだってできる。そのことで主導権を握ることも可能なはずだ。
■他山の石
韓国の尹炳世外相は14日の国会答弁で、日韓首脳会談について「現段階では(歴史問題などでの)日本の誠実な取り組みが足りず、環境が熟していない」と述べ、開催に慎重な考えを示した。その一方で、歴史問題と切り離して経済交流などを進める方針を示し、「日本とより安定した関係をいかに築けるか積極的に検討する」と述べた。
政治と経済を切り離し、経済協力という“おいしい実”だけを取ろうというのはあまりにも姑息(こそく)だ。こうした言動が、不信感を増しているとなぜ気がつかないのか。
関西人は交渉ごとにたけ、商売上手とされる。その善しあしはあるだろうが、韓国の外交姿勢はまさに「他山の石」。見習わないという意味で、実に学ぶことが覆い。