1票の格差:5倍の格差、常態化…参院選

毎日新聞 2013年11月28日 12時25分(最終更新 11月28日 15時10分)

参院選の1票の格差の推移と最高裁の判断
参院選の1票の格差の推移と最高裁の判断

 参院選の「1票の格差」について、最高裁は衆院とほぼ同様の枠組みで違憲か否かを判断してきたが、衆院に比べ大きな格差を許容してきた。

 最高裁は1971〜2007年の参院選で計11回の判断を示したが、最大格差6.59倍の92年選挙を「違憲状態」とした以外、5倍前後の格差は全て「合憲」としてきた。衆院選では中選挙区時代に違憲判決を2度出しているが、参院選では一度もない。

 参院の場合、都道府県単位で選挙区が設定され、3年ごとに半数が改選されるため各選挙区の定数は人口最少の鳥取でも2人。衆院より格差が開きやすい事情や、参院の独自性への配慮が「寛容な判断」の背景にある。

 だが、5倍前後の格差が常態化し、衆院と同質化している実態も踏まえ、司法判断は投票価値の平等を重視する傾向を強めている。

 かつては「合憲ライン」内だった最大格差5.00倍の10年選挙について、昨年10月の大法廷判決は「違憲状態」と結論づけ▽憲法による投票価値の平等の要請が(衆院選より)後退してよい理由は見いだしがたい▽選挙区を都道府県単位にしなければならない憲法上の要請はない−−と従来より踏み込んだ判断を示した。13年選挙について最高裁は来年にも統一判断を示す見通しだ。【和田武士】

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