1票の格差:民意反映へ是正を…参院選「無効」判決
毎日新聞 2013年11月28日 13時27分(最終更新 11月28日 13時40分)
「1票の格差」を巡り、今夏の参院選岡山選挙区の選挙を無効とした28日の広島高裁岡山支部判決。今年3月には、昨年12月の衆院選岡山2区についても無効判決が出ており、地元政界関係者らは参院選初の無効判決を改めて重く受け止めた。衆院選の格差を巡る最高裁判決(今月20日)が「違憲状態」にとどまった直後だけに、原告側は格差是正を強く訴えた。
今夏の参院選で初当選した自民・石井正弘議員の地元事務所の池田允之(のぶゆき)所長代理(68)は「今後どうなるか分からず、コメントできない」と話した。一方、無所属で出馬し落選した元衆院議員の高井崇志さん(44)は「衆院議員時代、定数削減と1票の格差是正は最優先で取り組むべきだと主張してきたが、実現できず申し訳なく思う。一日も早く是正措置を講ずるよう求めたい」との談話を発表。落選した共産の垣内京美さん(47)も「当然の判決。選挙制度は民意をできる限り正確に反映しなければならない。比例代表中心の制度への抜本改革を求める」とコメントした。
有権者からは評価の声が聞かれた。岡山市南区の主婦、柳下み咲(さき)さん(47)は、衆院選を巡る一連の1票の格差判決後、国の動きが鈍いと感じたといい「今度はきちんと受け止めて、抜本的選挙制度改革を」と注文した。
判決後、升永英俊弁護士を中心とする原告側弁護士グループは、岡山弁護士会館で記者会見。久保利英明弁護士は、判決が人口比例選挙の原則を明確に認めたと説明し、「この判決によれば、この国では国民主権に基づかない政治が行われていることになる。ただちに抜本的改革が必要だ」と強調した。伊藤真弁護士は特定秘密保護法案に触れ、「今、国会でこの国の形を変えてしまうような法案が決定されようとしている」と指摘、「国会運営も異常だが、議員が選ばれた手続きも、民主的正当性のない選挙だったことが明確に指摘された」と述べた。
【五十嵐朋子、黄在龍、松井豊、豊田将志、石川裕士】