福島原発事故:田畑の賠償基準公表…来月6日から受け付け
毎日新聞 2013年11月29日 22時07分
東京電力は29日、福島第1原発事故で使えなくなった福島県内の田畑の賠償基準を初めて公表し、来月6日から請求を受け付けると発表した。大字(おおあざ)(地区)ごとに鑑定額の高い場所を「評価額単価」に定め、事故から6年を限度に所有面積に応じて賠償額を決めるとしている。
賠償対象は、県内11市町村に設定された旧警戒区域と旧計画的避難区域にある田畑約16万件。このエリアでは家屋や宅地の賠償手続きが始まっているが、田畑は基準が未定だったため進んでいない。同じ大字内で不公平が生じないよう、県不動産鑑定士協会の鑑定結果を基に「比較的優良な田畑」の鑑定額を、その大字の評価額単価に統一する。
東電は「大字間で大きな格差が出るし、請求者個別に話し合いも必要となる。混乱は避けたい」(石崎芳行・東電副社長)として評価額単価を公表しない方針。関係者によると、1平方メートル当たり200〜1000円になる見通しという。東電は地元JA(農業協同組合)や自治体などに了承を得たとして発表した。
ただJA全農福島の賠償担当者は「賠償対象の農家はおおむね満足しているが、(賠償が支払われない)避難区域外にも線量の高い田畑は多い。すべて納得したわけではない」と話し、賠償対象の拡充を求める考えを示した。【栗田慎一】