■フィリピン、電車に発電機搭載 投石防止網も
日本型車両は現地の事情に合わせて様々に改造されている。
例えばフィリピンでは鉄道の電化が進んでおらず、電車ではなく、ディーゼルエンジンを搭載したディーゼル車が走っている。
しかし2011年、東京メトロ千代田線に乗り入れていたJR常磐線の203系車両が同国に渡った。203系は電車なので電気がないと走らない。ディーゼル機関車がけん引する形で使われているという。
パンタグラフやレールから電気が供給されない状態で、車内の照明や冷房はどうするのか。なんと車両に発電機を持ち込み、車内の電気をまかなっているという。そこまでしても、日本型車両がほしいとのことだった。
フィリピンではまた、車両の窓という窓が金網で覆われている。斎藤さんによると、投石防止のためだとか。貧しい地区を走り抜けることもあり、投石が後を絶たないらしい。まるで護送車のような趣となっている。
インドネシアとフィリピンはレール幅が1067ミリでJRなどと同じだが、タイ・マレーシア・ミャンマーは1000ミリが主流だ。「メーター・ゲージ」などと呼ばれている。
ある鉄道雑誌の編集長によると、かつて東南アジアを植民地化していた英仏などの技術者が、この地に1000ミリを広めたという。旧日本軍がタイ・ビルマ(現ミャンマー)間に建設した泰緬(たいめん)鉄道も1000ミリだった。映画「戦場にかける橋」の舞台となった鉄道だ。
これに対してJRなどのレール幅は1067ミリ。これを1000ミリ幅に合わせるため、現地では改造工事を行っている。「日本では信じられないような改造が目に付く」と斎藤さんは苦笑する。
■「大手町」「優先席」… 残ったままの日本語表記
「大手町」「女性専用車両」「高田馬場」「優先席」……。斎藤さんが各地で撮影した写真には、日本語の表記がそのまま残っている車両が目立つ。日本の路線図を掲げたままの車両もあった。日本ブランドが安心感につながっている背景がある。
一方でインドネシアでは2012年、「日本語表記は外すように」との通達が出た。車体の色も同じ模様に塗り替えるなど統一感の演出に腐心しているが、表記についてはあまり守られていないのが現状のようだ。
ちなみにインドネシアでは2010年から、女性専用車両が登場した。斎藤さんが同国の鉄道関係者に聞いた話では、鉄道会社幹部が日本を視察して導入を決めたという。これにも日本型車両が使われ、シートはピンク色に張り替えられた。
2012年7月からは全車両が女性専用となる列車も登場した。しかしラッシュ時以外は乗車率が低かった上に男性からの反発があり、「女性専用列車」はこの5月に廃止となった。
引退後も世界で活躍する日本型車両。国際協力機構(JICA)によると、インドネシアでは2007年に同国初の鉄道雑誌が発行され、「鉄ちゃん」も生まれているとか。お目当ては日本の車両だ。日本が誇る鉄道文化。これもまた、クール・ジャパンだ。(河尻定)
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