昨年12月、東京・神田神保町にオープンした「天ぷら革命 ふじ好」は、店名に冠する通り天ぷら店の新しいスタイルをめざした店だ。オーナーの藤本孝博氏は日本マクドナルドに勤めた経験を持ち、「高級品の天ぷらをカジュアルに」との思いからこの店を開業した。和食の経験豊富な調理人が揚げる本格的な天ぷらを提供しながら、4種の定食は1000円と1500円に価格を設定。約20品ある単品の天ぷらも300円以下を中心に揃える。天ぷら店で不動の人気商品であるエビについては、全長20cmの超特大天然車海老800円をはじめ、3種のエビを食べ比べできる「海老くらべ」1000円など、エビだけで7品をラインアップしている。他に豚の角煮やトマトチーズなどユニークなメニューも充実。これが受けて13坪15席で月商450万円を売り上げている。今後は調理のマニュアル化を進め、2年以内に東京都内で10店体制をめざす意向だ。
天ぷら革命 ふじ好
大衆鶏割烹 燦鶴
居酒屋企業の中でも独創的な業態開発で知られる(株)きちりが展開するのが、大阪・堂島の「大衆鶏割烹 燦鶴」。生後30日前後の国産ひな鳥の唐揚げが看板商品だ。ひな鳥唐揚げは3種あり、手羽819円、もも819円、ずり609円。一番の売れ筋は手羽で、小さな骨まで食べられるひな鳥ならではのメリットを生かすため、200℃以上の高温で10分間素揚げし、パリッとした食感に仕上げているのが特徴だ。下処理も独特。イタリア産シチリア海塩を揉み込み、丸1日氷温熟成して旨みを引き出す。ディナー帯は「はかた地どり ぽん酢すき焼き」が好評。その他、造りや小鉢、一品料理も充実。客層は、女性グループや年配のお客も多い。
揚げ物の中でも定番中の定番であるコロッケにこだわり「手土産にできるコロッケ」をコンセプトに掲げたユニークな店が兵庫・芦屋の「芦屋 花コロッケ」。素材の質を徹底追求し、ジャガイモは有機農法で栽培したメークインなど北海道十勝産の4品種を商品によって使い分ける。他の具材も同様で、タマネギは兵庫・淡路島産、牛肉は県内の有名牧場から仕入れるブランド黒毛和牛を使用するなど、食材へのこだわりを徹底。コロッケは、1日100個を販売する看板商品の花コロッケ150円をはじめ10種類を揃える。花コロッケはその名の通り花の形に成形。他にも、ヒジキを使ったライスコロッケや、2種のチーズが入ったチーズコロッケなどユニークな商品をラインアップする。店での販売はテイクアウトのみだが、厨房内に急速冷凍機を設置してギフト用の冷凍コロッケを販売する他、昨年11月からはネット販売も開始するなど、着実にビジネスを拡大している。
芦屋 花コロッケ
- ヘルシー志向に逆行するメニューと言われてきた揚げ物だが、調理法としてみた場合、そのマイナス要素をカバーして余りある大きな特性を備えている。それは「素材そのもののおいしさを生かしつつ、そこに新しいおいしさを付加できる」という点だ。たとえば、魚介を加熱しておいしく食べる方法としては、天ぷらに勝るものはない。こうした商品が本来持つ価値を、より幅広い客層に訴えていこうという姿勢が、今回取り上げた事例には共通している。定番商品の可能性を拓くという点で、新しい揚げ物業態に学ぶべきことは多い。
- 天ぷら革命 ふじ好
- 東京都千代田区神田神保町3-1-13 TEL03-6272-6874
11:00~22:00 無休 店舗規模/13坪15席
店舗はもともと老舗天ぷら店だった物件を改装したもの。オープンからすぐに近隣のサラリーマンから支持を得て、ランチにはウエイティングが出る繁盛店となった。今年3月からは、学生をターゲットにした新商品「革命まかない豚天丼」850円を投入。早くも2号店を計画し、都内で物件調査を進めている。
- 大衆鶏割烹 燦鶴
- 大阪府大阪市北区堂島1-5-17 堂島グランドビル1F TEL06-4796-0039
11:30~13:30 17:30~23:00 日曜定休 店舗規模/23坪34席
「素材本来の味を生かす」というメニューコンセプト同様、店舗デザインもシンプル。「レトロ感を感じさせる街の食堂」を内装のコンセプトとしている。ひな鳥唐揚げの他、夜のコースに組み込まれているブランド鶏を使った「博多地鶏のポン酢すき焼き」が好評だ。
- 芦屋 花コロッケ
- 兵庫県芦屋市大原町2-6 ラモール芦屋113-1 TEL0797-38-8756
11:00~20:00(日曜~19:00) 第2・4火曜定休 店舗規模/27坪
清潔感のある店内には冷蔵と冷凍の2台のショーケースを設置。ギフトセットも陳列し、花コロッケ18個入りのセット2900円が人気だ。近隣の主婦など女性客をターゲットに据え、コロッケも形やトッピングなど見た目の可愛らしさに気を配った。昨年3月のオープン以来、固定客を着実に増やしている。