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米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」、突破を試みる中国

米中の覇権争い激化
安倍首相、米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」戦略を再び公に
中国、「第1列島線」を7月に突破…現在は「第2列島線」突破狙う

 中国が東シナ海に防空識別圏を設定したと宣言したことをめぐり、米日同盟と中国の対立が激化している。安全保障戦略の専門家は、今回の事態について「東アジア全域にわたって形成されている両勢力の争いの一断面」と指摘している。

 両勢力の対立を象徴するのが、中国の「列島線突破」と米日の「自由と繁栄の弧」戦略だ。「自由と繁栄の弧」戦略とは、市場経済システムを採用する国々で中国を南から緩やかに包囲するという概念だ。

 昨年11月、中国軍事科学学会の羅援・副会長(海軍少将)は「海洋大国になるためには、第1列島線を突破しなければならない」と語った。第1列島線とは、九州-沖縄-台湾を結ぶラインのことで、冷戦時代に中国が対米防衛ラインとして設定した。今年7月24日、中国は史上初めてこのラインを突破した。この日、中国軍の早期警戒機1機が沖縄南方700キロの地点まで飛行し、その後中国本土に帰還した。当時、産経新聞は「中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線(中略)を中国軍機が越えて飛行したのは初めて。中国はこの防衛ラインを(中略)第2列島線まで押し上げようとしており、海軍艦艇に続き、空域でも第1列島線を越えた衝撃は大きい」と報じた。第2列島線とは、伊豆諸島とグアム・サイパンを結ぶラインのことで、中国が海洋大国建設のために設定している攻撃的なラインだ。

 2006年11月30日、麻生太郎外相(当時)は日本国際問題研究所のセミナーで講演を行い「自由と繁栄の弧」の構築を公のものにした。米国-日本-オーストラリア-フィリピン-インドとつながる長い線で中国を圧迫・封鎖するという内容だった。当時は第1次安倍内閣時代。専門家らは「第2次安倍内閣で、この戦略が再び公のものになっており、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使はその一環」と語っている。

 「第1・第2列島線」と「自由と繁栄の弧」が衝突する地点は、インドから韓半島(朝鮮半島)までの間に随所にある。安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は既に、集団的自衛権行使の対象として「石油輸送ルート」を挙げている。これは、マレー半島西岸とスマトラ島東岸に挟まれたマラッカ海峡を指している。中東の石油を東アジア地域に輸送するためには、必ずこの海峡を経由しなければならない。また、中国・フィリピン・マレーシア・ベトナム・台湾・ブルネイなどが領有権をめぐって争う南沙諸島海域には、膨大な量の天然ガスがあると考えられている。尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺にも、大量の天然ガスが埋蔵されている。中国は今後、防空識別圏を東シナ海から南沙諸島周辺にまで拡大する可能性がある。

 チョ・セヒョン元韓国外交部(省に相当)北東アジア局長は「これまで東アジアの海では米国が軍事的な援護役を務めてきたが、その米国で『日本も負担を分かち合うべき』という声が強くなってきた。集団的自衛権行使を米国が支援するのも、これが理由」と語った。

辛貞録(シン・ジョンロク)記者 , パク・スチャン記者
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