予告動画
ISSから宇宙を見ると、地球から見るのとは違い、星々が3次元的に奥行きを持って広がって見え、宇宙の広大さを実感します。こうした息を飲むほど素晴らしい光景を、ぜひ皆さんに届けたいと思います。
実際に超高感度4Kカメラを使ってアイソン彗星やオーロラを撮影したとき、モニターに映し出された美しい光景に驚かされました。今回のような機会に出会えたことは素晴らしいことですし、これから彗星が最も明るく輝く時まで、できるかぎり良い映像がとれるように努めたいと思います。
世紀の天体のショーになるというアイソン彗星を、しっかりと見てみたいですね。国際宇宙ステーションから、若田光一さんが超高感度4Kカメラで撮るものは、“地球から決して見ることができない映像”でしょう。しかも、宇宙からの生中継で送られてくる。今回出会うことになる、“地球から決して見ることができない映像”に、大いに期待しています。
2013年11月29日に、太陽をかすめるように通過するアイソン彗星。誕生してから初めて太陽に近づくため、これまで凍り付いていた膨大なガスやちりを噴出し、観測史上に残る大彗星になると期待されています。
今年8月、NHKとJAXAが共同で準備を進めてきた宇宙用の超高感度4Kカメラが、上空400kmに浮かぶ国際宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げられました。4Kカメラとは、ハイビジョンの4倍の画素数を持つビデオカメラです。これにより、大気圏外という彗星観測の特等席から、史上初の巨大彗星の宇宙中継が実現します。
しかも、まさに今、ISSには日本人宇宙飛行士・若田光一宇宙飛行士が長期滞在中です。若田宇宙飛行士が4Kカメラを操作して、この世紀の“彗星生中継”映像を、カメラマンとして、そして宇宙からのプレゼンターとしてお茶の間の皆さんに届けてくれます。
番組では、アメリカの雄大な大自然の中からも、ちょうど夜明け前のアイソン彗星を生中継します。さらに、最新の科学が解き明かす、彗星が地球にもたらしてくれたかけがえのない“贈り物”も紹介します。
この世紀の天体スペクタクルは、人類が初めて目の当たりにする美しく鮮烈な映像を通して、私たちが『地球という星の上で宇宙とつながって生きている』ことを体感させてくれるに違いありません。
(2013年4月撮影)
一生に一度のアイソン彗星
アイソン彗星は2012年9月21日に発見された彗星です。太陽系の外側にある氷の微惑星の集まり、「オールトの雲」からやってきたと考えられています。
彗星は氷と岩石からできていて、太陽に近づき暖められると、氷の表面がとけてガスやチリを吹き出し、尾を引きます。アイソン彗星は、太陽をかすめるように通りますので、とても明るく立派な尾を出すのではと期待されています。
2013年11月29日は、アイソン彗星が太陽の最も近くを通る日です。太陽のエネルギーの影響でアイソン彗星がどのように変わるのか?……それは誰にも分かりません。誰にも予想できないところが、彗星の魅力の1つでもあります。
彗星の中には、ハレー彗星のように76年周期で太陽の周りを公転する彗星もありますが、アイソン彗星は放物線状の軌道を描くため二度と戻ってきません。ですから一生に一度しか見ることができないのです。
早起きをしてアイソン彗星を見よう!
アイソン彗星は、日の出前の東の空に現れます。東の地平線近くまで見わたせる場所を探して見るのがポイントです。彗星は淡い天体ですから、光害の少ない暗い所で見た方がよいでしょう。日の出前はとても暗いので、安全な場所を探して見ることも大切です。
11月下旬になると、アイソン彗星は明るくなり、双眼鏡で彗星が見えるようになりますが、太陽にもっとも近づく11月29日前後の2~3日は太陽に近すぎて見えにくくなります。この頃彗星を見ると、太陽の光で目を傷める恐れがありますので注意してください。
12月の初めにアイソン彗星は再び現れます。太陽のすぐ近くを通った後なので、最も明るく、長い尾をひく可能性があります。この時は肉眼でも彗星を見られるかもしれません。その後、アイソン彗星はどんどん暗くなり、北に移動していきます。12月下旬になると、日没後の北西の空に現れますが、この時は双眼鏡を使用しないと見られないでしょう。