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【茨城】

秘密保護法案 「非常に逮捕しやすい」

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◆田村武夫 茨城大名誉教授に聞く 問題点は

 特定秘密保護法案が成立すれば国民生活にどのように影響するのか。田村武夫茨城大名誉教授(71)に法案の問題点を聞いた。 (妹尾聡太)

 −法案の性格は。

 「情報を漏らした公務員の厳罰化が焦点のように言われるが、一般国民も刑罰の対象としていることに大きな問題がある。秘密を握った場合だけでなく、未遂や教唆、扇動も罰せられ、偶然知り得た場合も犯罪を疑われてしまう。非常に逮捕しやすい法律だ。『その他』の表記があることによって秘密の範囲に歯止めも利かず、国民に対して途方もない威嚇力を持つ」

 −特定秘密は外交や安全保障など一部の分野に限るため、日常生活には関係ないとの指摘がある。

 「外交や防衛は日本全体、国民全体の将来を左右する重要な情報だ。特定秘密保護法と一体運用し、首相ら数人で構成する日本版NSCだけが問題に対処すればどうなるか。戦闘機の交戦や撃墜など軍事的な衝突が秘密にされたまま、戦争が避けられないほど緊迫化した時点で突然発表される可能性もある。何も知らずに運命に巻き込まれてしまう前に事態を明らかにし、国民が待ったをかけなければならない」

 −成立した場合の当面の影響は。

 「まず問題になるのはTPP(環太平洋連携協定)交渉の中身についてだ。日本にとって不利な情報が明らかになれば関係団体が反発するため、政府は情報を隠してスムーズな妥結を目指そうとする。既存の法体系にも影響を及ぼす。例えば行政機関に情報開示を求めても公開されない領域が増え、結局は情報公開法が変えられるだろう。知る権利など憲法上の重要な原則が制限されてしまう」

 −参院での強行採決を止めるには。

 「シリア内戦で米国が軍事介入に踏み込めなかったのは、与野党を問わず反対した議員がいたからであり、背後には選挙区住民の圧力があった。日本でも多くの国民が特定秘密保護法案の慎重審議を求めており、地元の有権者が声を上げれば国会議員も賛成票を投じにくくなる。そうした行動を目立たせていく必要がある」

 

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