【ワシントン=渡辺丘】日米両政府は東日本大震災などの大規模災害の際、自衛隊と関係省庁に米軍と在日米国大使館を加えた会議を、自動的に立ち上げる方向で調整を始めた。来年末までに見直す「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に盛り込み、有事に限った防衛協力の枠組みを大災害時にも広げる。

 この会議体は、1997年のガイドラインが、武力攻撃や周辺事態の際に日米が情報を共有する枠組みとした「調整メカニズム」(BCM)。東京電力福島第一原発の事故直後、日米間の情報共有が遅れたことを教訓にした。国家安全保障会議(日本版NSC)設置と合わせ、危機に際した「司令塔」にする。

 BCMは、自衛隊と米軍のそれぞれの作戦行動の調整だけでなく、災害派遣を含む様々な事態を扱う機関に変わりつつある。政府内の一部には、「日本の国家主権が制限される」との懸念も出ている。