今季限りでの退団が決定している名古屋グランパスのDF阿部翔平(29)が、今季ホーム最終戦となる30日の甲府戦で、サヨナラJ1初ゴールを狙う。現在J1リーグ戦224試合出場で無得点というリーグ歴代2位の珍記録を更新中の阿部にとっては、ホームのサポーターにゴールを披露するラストチャンス。前節はDFダニエルが惜別ゴールを決めてヒーローとなっただけに、「シュートチャンスが1回くらいあれば…」と控えめな野望を漏らした。
淡々と、ひょうひょうと−。退団が決まっても阿部は阿部らしく、グランパスでのホーム最終戦を迎える。「そりゃ悲しいですけど、シーズンもサッカー人生もまだ終わりじゃない。また何らかの形で戻ってきたりすることもあるかもって考えると、そんなにしんみりはしないですね」。8年分の思いを込めるわけでもなく、甲府戦に向け静かに意気込んだ。
ただ、やり残したことがある。「しっかり勝って雰囲気を楽しみたい。あとはシュートチャンスが1回くらいあれば」と色気を見せたように、歴代2位となるJ1リーグ戦224試合無得点という珍記録を止めることだ。ホーム最終戦で阿部がプロ8年目のJ1初ゴールを決めれば、前節にダニエルが決めたロスタイム決勝惜別弾以上の衝撃が走ること請け合いだ。
プロ入り後唯一の得点は、08年6月のナビスコ杯浦和戦での豪快な無回転ミドルシュートだった。しかし「そういうチャンスになったらオレ、横パス出しそう。体に染み付いているから」と苦笑い。「3−0くらいになったらPKを優先的にけらせてもらえないかな」と、おいしい展開も期待した。
前節、同じく退団するDF田中隼が試合後に1人でサポーターとの“惜別セレモニー”を行ったのを見て、「ハユさんはああいう感じか…。あの別れ方が正しいのかな」と考えた。もちろん別れ方は人それぞれでいいもの。ただ、もしサヨナラゴールが決まれば、阿部にとってみんなを笑顔にする最高の別れ方となる。 (宮崎厚志)
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