【バンコク=高橋徹】タイの首都バンコクで大規模な反政府デモが続いており、28日までに中央省庁の半数に相当する10機関が閉鎖を余儀なくされた。政府の機能はマヒ状態にあり、行政手続きが滞るなど、進出企業の業務にも支障が出始めている。インラック首相はデモ隊に政府との対話に応じるよう求めているが、事態収拾の道筋は見えない。
「経済や社会、国際的な信用を損ねる政治ゲームは望まない」。28日のテレビ演説でインラック首相は政府機関の占拠をやめるようデモ隊に呼びかけた。与党・タイ貢献党が多数派を占める下院は同日、野党から提出された首相の不信任決議案を否決した。だが首相退陣を求めるデモは激しさを増している。
反政府デモはタクシン元首相の帰国に道を開く恩赦法案が下院で審議されたのがきっかけだ。これに反発した野党勢力が元首相の妹のインラック首相の退陣を求め、デモ隊が財務省の建物などの占拠を続けている。
28日には国防省や国家警察本部などで抗議活動を展開。運輸省やエネルギー省などが混乱を避けるために閉鎖し、職員を自宅待機させた。再開のメドは立っていない。
大規模なデモが展開されている官庁街は旧市街にあり、進出企業が集まるオフィス街や工業団地からは離れている。ただ約1500社の日系企業が加盟するバンコク日本人商工会議所によると、商業省の閉鎖で輸出に必要な「原産地証明書」を取得できないなど、申請や許認可取得の手続きが滞る例があるという。
デモに参加しているのは都市部の住民や中間層など。さらに政府系企業や公社の労働組合が加盟するタイ国営企業労働連盟(約20万人)が28~29日の職場放棄とデモ参加を呼びかけた。休暇願を出してデモに加わる職員は少なくない。
タイ国際航空労組のダムロン委員長は日本経済新聞に「政府がデモ隊を強制排除すれば即座にストライキに突入する」と語った。デモは地方都市にも波及し、28日にはタイ南部のプーケットなど7県庁が閉鎖された。
プミポン国王の誕生日を12月5日に控え、インラック政権は事態収拾を急いでいる。ただ11月30日には政権を支持する政治団体が大規模な集会を計画するなど、対立は先鋭化している。首相本人は否定しているが、事態打開を狙って、首相が下院の解散・総選挙に踏み切るとの見方もある。
デモ、反政府デモ、バンコク、日本経済新聞
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