韓中の防空識別圏めぐる摩擦 全面対立の様相
【ソウル聯合ニュース】中国が一方的に設定した防空識別圏をめぐる韓国との摩擦が全面対立の様相を呈している。
韓国政府は28日にソウルで開かれた中国との国防戦略対話で、防空圏の設定に強い遺憾の意を表明し、韓国の防空圏と重なっている空域などを変更するよう求めた。中国は防空圏を変更する意思がないことを明確にし、韓国側は防空圏を拡大する考えを明らかにした。
両国軍関係者約20人が出席した戦略対話は穏やかな雰囲気で始まったが、防空圏問題が緊急議題に挙がり、緊張感が漂ったという。
韓国側は中国の防空圏が韓国の防空圏と重なるほか、総合科学基地がある離於島の上空を含めていることについて、「事前協議がなかったのは非常に残念で、認められない」として、変更を要求した。
これについて中国側は「受け入れない」と言明。韓国側は「国益の保護のため、韓国の防空圏の拡大を検討中」と返したようだ。
中国は防空圏の発表後、日本と米国に対しては強硬な態度を示しているが、韓国については協議を通じて解決したいとの融和姿勢をみせていた。中国外務省の秦剛報道局長は25日の定例会見で、同問題について、「強調したいのは両国は友好的な近隣国であるということ」とした上で、「(韓国の)十分な理解と協調を望む」と述べた。
だが、戦略対話で韓国政府が強い遺憾の意を伝達し、変更を求めたことを受け、強硬な態度に切り替えたとみられる。同問題で米国や日本、台湾などと対立している状況で、韓国の変更要求だけを受け入れるのは難しいとの見方もある。
韓国政府は防空圏の変更に向けた協議を提案したが、中国側は明確な返答をしていないという。
防空圏をめぐる対立は北東アジアの軍事的な対立を高める要素として急浮上し、さらに深刻化する懸念が高まった。
韓国政府は事前通告なく、離於島の上空に航空機を飛行させる方針だ。26日には韓国海軍の海上哨戒機(P3C)が中国に事前通告せず、離於島の上空を飛行した。韓国海軍と海洋警察の航空機は週3〜5回、離於島の上空を哨戒飛行しており、中国がこれを口実に戦闘機を発進させる可能性もある。
ただ、戦略対話で偶発的な事態を防ぐため、両国の国防省が「ホットライン」を設置することで合意したのは成果といえる。両国は海軍と空軍の間でホットラインが設置されているが、軍指導部間には設置されていない。韓国軍関係者はホットライン設置について、「偶発的な事態で軍事的な緊張が高まることを防げる制度的な装置になるだろう」と説明した。
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