インフルエンザ 予防接種に賛否両論
インフルエンザの流行時期が迫り、予防接種のシーズンが巡ってきた。ただ、インフルエンザの予防接種に法的な義務はなく、福井県も「重症化予防に効果があり、受けた方が望ましい」とするだけ。一方で、その効果に疑問を抱いて今年から接種中止を宣言した医療機関もあり、予防接種の在り方に一石を投じている。(山本洋児)
「インフルエンザワクチンの接種を中止します」。福井市足羽2丁目の清水内科循環器医院は、A4用紙の表裏に中止理由を記して来院者に配布している。
清水啓司院長は「ワクチンには過去のウイルスのかけらが入れられ、その部分に対する免疫は一時的にできるが、ウイルスはどんどん変異するため効果がない」と判断。ワクチンに水銀などの化学物質が入っていることを指摘し「いらないものは体に入れない」と接種中止を決めた。
中止の理由には、ワクチンの副作用も挙げられている。ワクチン接種後に死亡したり、発熱やアレルギーなどを発症したりすることが懸念され、清水院長は「自然感染の免疫で体を守る方が断然良い」と話す。
福井市の女性(75)は過去に1度、ワクチンを接種したが、体に合わなかったため2度目は控えている。同医院の接種中止を聞き「納得した」とうなずく。
一方、福井市四ツ井2丁目の県立病院は、これまで通りワクチン接種を続ける。経営管理課によると、これまで大きな問題がなく、国や県から新たな指針が出ていないことなどから、接種の是非は議論になっていない。
予防接種を毎年欠かさないという福井市の女性(70)も「副作用は恐ろしいが、打つと安心。発症したら後悔する」と、ワクチン接種を続ける予定だ。
県健康増進課は、県外では接種を中止する医療機関も珍しくないとした上で「ワクチン接種の有害性が有効性を上回るとは考えていない」と説明する。担当者は「接種中止は医師それぞれの考えがあり、肯定も否定もできない。最終的には受ける人の判断」とし、接種を受けるかどうかは個人の判断に委ねるとしている。
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