【小松隆次郎】日本の台湾統治を検証したNHKの番組が偏向した内容だったなどとして、日本の視聴者ら計42人がNHKに710万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。須藤典明裁判長は、番組で使われた「人間動物園」という言葉が、台湾の先住民の子孫の名誉を毀損(きそん)したとして、原告の台湾人女性1人に100万円を支払うようNHKに命じた。

 番組内容の偏向については「報道に問題がないわけではないが、批判的な報道も、憲法が保障する表現の自由や報道の自由に照らして十分尊重されるべきだ」として、一審に続き他の原告の請求を退けた。昨年12月の一審・東京地裁判決は全請求を棄却していた。

 この番組は、2009年4月放送のNHKスペシャル「アジアの“一等国”」。判決によると、番組は台湾統治を検証するなかで、1910年に台湾の先住民パイワン族の男女がロンドンの博覧会に連れていかれ、「人間動物園」に展示された、などと報じた。