ガキ大将のジャイアンにいじめられたのび太を、ドラえもんが未来の道具で救う‐…
ガキ大将のジャイアンにいじめられたのび太を、ドラえもんが未来の道具で救う‐。人気漫画・アニメ「ドラえもん」でおなじみの展開だ
▼漫画連載開始から40年以上。長い歴史の中には「ドラえもんに休日を」という異色作がある。いつも助けてくれるドラえもんが休みを取り、のび太は自力で窮地を乗り切ろうとするストーリーだ
▼冷戦終結後、唯一の超大国となった米国は、外交、軍事、経済などあらゆる分野でドラえもんのような万能ぶりを誇り、「世界の警察」として同盟国の「助けて」に応えてきた。だが、イラク戦争や金融危機、中国の台頭などでその威信は陰り始めた。「米国の休日」は現実味を増す
▼一方の中国。沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海に「防空識別圏」を設けた。「おまえのものは俺のもの、俺のものも俺のもの」が口癖のジャイアンのような一方的な振る舞いだ
▼日本政府は強く抗議し撤回を求めた。当然である。ただし中国の挑発に乗せられ、日本側も米国を頼んでより強硬な姿勢に出れば事態はますます危うくなろう
▼漫画の話に戻る。のび太は悪童にからまれるが、理不尽な暴力に耐え助けを求めなかった。それを見たジャイアンたちは感心し、普段は仲が良くないにもかかわらず「友達だ」と助けに入る。力任せの覇権主義と冷静な対話主義。どちらが地域の問題解決にふさわしいか、国際社会や周辺諸国は注視している。
=2013/11/27付 西日本新聞朝刊=