トップページ国際ニュース一覧中国「識別圏重複は避けられず」
ニュース詳細

中国「識別圏重複は避けられず」
11月28日 18時48分

中国が東シナ海に防空識別圏を設定したことについて、東京の中国大使館の報道官は東シナ海で日中両国の防空識別圏が重なるのは避けられないとしたうえで、日本側が中国を非難するのをやめ、飛行の安全を確保するため双方の対話が必要だという認識を示しました。

今月23日、中国は突如、沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したと発表し、日本政府は一切の措置を即時撤回するよう要求しているほか、アメリカ政府も現状を一方的に変更するものだとして中国に自制を求めています。
これについて東京の中国大使館の楊宇報道官は28日の定例記者会見で「アメリカや日本などは中国の安全を尊重して道理のない非難を停止すべきだ」と反論したうえ、アメリカのケネディ駐日大使が27日、都内で行った講演で地域の緊張を高めているだけだなどと中国を批判したことについて「アメリカは特定の立場を取らず、不適切な発言をやめるべきだ」と述べました。
そのうえで楊報道官は、「日中は独特な地理を持つ東シナ海を隔てて向かい合っているため、両国の防空識別圏の範囲が重なるのは避けられない。日本側が中国を非難するのをやめ、外交ルートを通じて技術的な問題を中国と協議すべきだ」と述べ、日中の対話が必要だという認識を示しました。

中国国防省「日本とやかく言う権利ない」

中国が防空識別圏を設定し、日本政府が一切の措置の撤回を求めていることについて、中国国防省の楊宇軍報道官は28日の記者会見で「日本は今から44年前の1969年に防空識別圏を設定した。日本側が中国の防空識別圏の設定にとやかく言う権利はない」と反発しました。
そして、「もし撤回しろと言うのなら、日本側がまず撤回すべきだ。そうすれば、中国も44年後に撤回を検討する」と一方的に主張しました。
また、中国の防空識別圏の設定に対し、日本政府が「東シナ海の現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない非常に危険なものだ」と抗議していることについて、楊報道官は去年9月に日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化したことなどを挙げ「一方的に現状を変更し、事態をエスカレートさせているのはいったいどちらか、国際社会はおのずと分かっているはずだ」と反発しました。
このほか、菅官房長官が28日の記者会見で、中国による防空識別圏の設定後も、自衛隊の哨戒機などがこの空域で警戒・監視活動を続けていると明らかにしたことについて、楊報道官は「防空識別圏に進入する各国の航空機に対しては直ちに識別を行っており、関係する航空機の状況はすべて把握している」と述べました。

中国外務省「日本が誠意見せるべき」

中国外務省の秦剛報道官は28日の記者会見で、日本側が求める防空識別圏の撤回に応じる考えがないことを強調しました。
中国が防空識別圏を設定したことに対して、日本政府は容認できないとして一切の措置の即時撤回を求めています。
これに対して秦報道官は「防空識別圏の問題で我々の立場はすでに何度も日本側に伝えた」と述べ中国政府として防空識別圏の設定を撤回したり、範囲を変更したりする考えがないことを強調しました。
そのうえで、中国政府がアメリカと韓国に外務次官や軍の幹部を相次いで派遣してこの問題についても協議しているなか、日本側との協議の予定について問われると「アメリカや韓国との話し合いは事前に決まっていた。日本との間に意思疎通のパイプがないわけではないが、日本側が誠意を見せて、両国間の対話と立場の違う問題の解決のために条件をつくるべきだ」と述べました。
これは、沖縄県の尖閣諸島を巡って対立する日本との間では、防空識別圏の設定について論議するために中国が政府高官レベルの対話を早期に行うことに否定的な考えを示したものとみられます。

[関連ニュース]
k10013423841000.html

[関連ニュース]

  自動検索

中国 脅威の程度に応じ緊急措置 (11月27日 19時31分)

ケネディ大使 中国の防空識別圏を批判 (11月27日 17時45分)

防空識別圏 中国駐日大使呼び抗議 (11月25日 19時29分)

中国 防空識別圏巡る抗議に反発 (11月25日 19時12分)

防空識別圏重なる韓国 中国に通報しない方針 (11月25日 18時29分)

このページの先頭へ