安倍ちゃん「LOVE」と保護法案
●視野狭窄とは怖いもので、参議院で審議中の特定機密保護法案に対してネットでは賛成の声が多い.だが法案はスパイを逮捕するという「安全保障」分野だけを扱っているわけではない。私が一貫して警戒しているのは「外交」に関する中身なのである。
外交上の機密がなにかは外務官僚たちが恣意的に決定できうる。その結果、今でも不透明なODA、なかでも対中援助の実態はさらにクローズされていく。
「国益に関わるので取材拒否」。今後は取材のたびにこうした回答が急増するだろう。
●「誰も書かない 中国進出企業の非情なる現実」の中で触れたように歴代の日本の中国大使の多くはODAの削減には大反対。理由は天下り先の大企業が受注に関与しているからである。
だが、法案の成立で今後は日本と中国双方の援助受注企業の実態を取材することも困難になる。
●頭に刻んでおいてほしいのは、こうした援助マネーについて日本の外務省(大使館・企業)と中国政府は別に敵対的な関係にあるわけではないということである。彼らは援助を分け合う利益共有関係(ステークホルダー)なのだ。だから丹羽宇一郎前中国大使は北京着任後ただちに「中止した対中ODAを復活させるだけでなく、さらに増額せよ」と本省(外務省)に通告したのである。これに喜んだのが中国政府であり、丹羽氏と中国が事前に打ち合わせた「やらせ」発言でもあった。
●こうした「癒着」ともいえる現状を前にすれば、あなたは本当に、外務省がODA,中でも中国向けのその中身を詳細にメディアに明かすと思われますか。今ですら取材の壁は極めて厚いのである。
●ODA以外にもまだある。日本がなぜやらなければならないのか、理解できない中国国内の遺棄化学兵器処理への日本からの公的資金供与。こちらも現在進行中で、総額で最低でも数兆円。ODAと合わせれば合計で10兆円となり、そればかりか、さらに増える可能性は高い。安倍政権はこうした援助の中止を考慮していない。
●さらに日本が最大の資金提供国であるアジア開発銀行と日本の財務省のつながり。これなども一段と不透明にされてしまうだろう。
外務省(財務省)が「外交機密」に指定することはいとも簡単である。
判断は彼らだけに委ねられている。
●さらにヤバいのが北朝鮮との正常化交渉とその後の経済支援。この詳細も「公開は国益を犯す」として最高機密扱いにされる。拉致の実態も全部があきらかになることはないだろう。
なんのことはない。安倍ちゃん大好きの「草の根保守」は彼らの大嫌いな「チョン」に日本人が膨大な援助をしたとしても、その詳しい中身を知るすべはないのである。
●法案が成立すれば、一番喜ぶのは米国だけでなく、「草の根保守」の大嫌いな「シナ」と「チョン」である。国内に民主制度がないからこそ、彼らはこの法案の成立を大歓迎する。
指導者が日本の援助に一族がらみで寄生している事実をこれまで以上に日本側が隠ぺいしてくれるからである。
特定機密保護法案はそういう内容を含んでいる。
仮にそうした実態が明らかにされた場合、それは即、犯罪と認定され、情報提供者も逮捕されるだろう。日本の「国益」が犯されたからである。
●そんな保護法案がいよいよ成立する。だが、「国賊」民主と違い、「愛国者」の安倍ちゃんのやることに間違いはない。
安倍ちゃんはTPPに参加し、増税にも踏み切った。そして秋の例大祭に靖国神社参拝もしなかった。
それでも、安倍ちゃんは俺たちの信頼する「愛国者」。どこまでもついていくぜ、安倍ちゃん。法案に反対する奴はアカとチョン。
●最後に
地獄への道は善意で敷き詰められているという。
「愛国者」とは自民党の手先ではないはずだ。
言論人もまた体制の御用聞きであってはならないはずである。
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