<レコード大賞>今年で55回目 その実体は? 歴史は?
毎日新聞 11月27日(水)19時19分配信
日本レコード大賞の各賞やNHK紅白歌合戦出場者の発表も行われ、年末恒例・歌謡ショーの準備も整った。紅白の話は次の機会に譲るとして、“レコ大”を検証してみよう。
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紅白がNHKの番組であるように、レコ大をTBS系列の音楽テレビ番組と思っている人も多いようだ。だが、実体は日本作曲家協会が主催する顕彰イベントである。協会は、1958年12月、作曲家の社会的地位と権利を守るために発足した団体で、古賀政男、服部良一、吉田正ら日本を代表する大衆音楽作曲家が歴代会長を務めている。つまり、本来は内輪の賞なのである。とはいえ「アメリカでグラミー賞なるものが生まれた。日本でも」と、すぐさまグラミー賞の翌59年に誕生させたのだから、相当な理想と熱意であったことがうかがえる。
だが、水原弘「黒い花びら」が受賞した59年の第1回では、会場の前で、作曲家たちが道行く人に招待のビラ配りをしたという記録がある。新人の水原が大賞受賞と聞いて「なんだい、そりゃ」と言ったという逸話も有名である。
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そして今年が55回目。大賞と歌唱賞、作曲賞、作詩賞、それに童謡賞しかなかった第1回とは、大衆音楽を取り巻く環境がまったく異なる時代に突入している。アナログレコードですら庶民のものとは言えないほど“音楽が高価”だった時代と、今のネット時代と比べて、大衆の音楽への向き合い方が同じであるわけはない。
とあるレコード会社のディレクターが新人採用の面接を行ったところ、半数以上の学生がCDを持っていないことを知ってがくぜんとした、と聞いた。そのディレクターは、さらに肩を落としてこう言った。「そんな彼らのほとんどが、ディレクター志望なんですよねー」
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それを聞いて、何だか安心した。「若者は、音楽を売る気はなくとも、生む気はあるんだ」と。レコード大賞の名は誰でも知っているが、顕彰される個別の楽曲が知られていない、という事態は55年前と真逆である。だが、そんな彼らがいるならば“いい音楽”は、生まれ続けてゆくはずである。
今年は、「EXILEとAKB48の直接対決」の年とされる。また、彼ら以外にも「ほーっ」という歌手や曲が並ぶ。ぜひ“違う時代”の音楽を楽しみたいものである。(川崎浩・毎日新聞専門編集委員)
最終更新:11月27日(水)19時19分
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