前話が通算100話だったとは!?
一応、100話記念は考えていたので次々回をお楽しみにと言うことでよろしくお願いいたします。
100話おめでとうコメント、ありがとうございます。
皆様からの感想が私の原動力です!!
第98話
ルクスの試合は、エルフがすぐに降参して決着がついた。
一応ハープを奏でてはいたのだが、ルクスには全く効かないようだった。
エルフも、効かないことが分かるとすぐに審判に降参を宣言した。
どうやら、【音魔法】も万能では無いようだ。
「次はヒビキとの試合だね」
ルクスは戻って来てすぐにそう言った。少年のように目をキラキラさせている。
俺としては次の試合は負けても良い試合だ。むしろ3位決定戦の為に体力を温存しておきたいのだが。
「お手柔らかにな」
当たり障りなく返事をして話を切り上げる。
「ねぇ、聞くことが生じますが」
「えっ?」
「なんだ?」
振り返ると先ほど試合を棄権したエルフがいた。
「しばらく前に 使用された魔法は何ですか?」
ルクスが珍しく狼狽している。
「いきなりだな。知らない奴に簡単に話すと思うか?」
「人族の金銭である場合は少数を持っています」
「ヒビキ、彼女の言葉が分かるの!?」
「分かるも何も、話してるじゃないか」
「彼女が俺達の言葉を使っているのは分かるけど、意味が分からないよ」
翻訳ソフトで再翻訳したような文法の文章に聞こえるようだ。
「問題は何ですか?払うことはどれくらいですか?」
このままではルクスの頭が混乱してしまう。
とりあえず、エルフにその事を伝えてみる。
「あ~、あ~、本日は晴天なり。これでどう?」
大丈夫そうだ。
「ごめんね、人族と話すのは久しぶりだったから」
軽く頭を下げるエルフ。
どうやら、先ほどまでエルフの言語で話していたようだ。
エルフの言語は、音と魔法を組み合わせたものらしく、実際に口から発する単語を魔法で意味のある文章にしているようだ。
俺は全ての魔法を習得できるので、ビルギットの言葉が分かったが、ルクスには【音魔法】の派生である【エルフ語】の素養がなかったため、内容を理解できなかったようだ。
「私、吟遊詩人のビルギット。この大会には路銀を稼ぐために出たんだ」
だから、さっきの試合は無理する必要なかったの。と笑顔で答える。
「あなた、予選の時にも変な音を出してたでしょう?私、その時からあなたに目をつけていたの」
予選の時の変な音は、魔物笛のことだろう。
エルフにもあの音が聞こえていたようだ。
「そうしたら、さっきの試合でまた私の知らない音がするから」
プロとしてはほっとけないよ。とこちらを見つめてくる。
「どっちも秘伝の技だから、教えない」
笛くらいなら値段しだいではくれてやってもいいが、路銀を稼ぐのに大会に出るような奴が金を持っているとは思えない。
ビルギットは一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻る。
「そうだよね、でも私もどうしても知りたいの。だから、君の周りで見張らせてもらうから」
「迷惑だ」
そういうと、ビルギットは懐から硬貨を取り出し俺の手に押し付けた。
「迷惑料の先払い!!」
手の中には、銅貨数枚と銀貨一枚。どうやらこれが彼女の全財産らしい。
「こんなんじゃ足りん」
硬貨をビルギットの手に押し付け返す。
試合は最高で2回、最低でも一回ある。こんな奴に張り付かれてたら、自由に準備が出来ない。
「そこを何とか!! なんなら大会の賞金もあげるから」
「旅の路銀じゃないのか?」
「そうよ、だからまた稼げばいい」
エルフは人族の金銭にそれほど執着しないようだ。
「とりあえず、まだ試合も残ってるから教えるつもりは無い」
「じゃあ大会が終わったら教えてくれるのね?」
「いや、そういうわけじゃ」
「ありがとう!!じゃあ大会が終わったらまた来るから!!」
ビルギットは颯爽と去っていった。
「なんなんだあいつ?」
「さあ?」
第3試合は、ミスターXとアイラの試合だ。
ミスターXは鞭を構え、アイラの攻撃を誘う。
アイラも鞭の射程ギリギリの位置で力を貯める。
試合開始時はうるさいくらいの観客の野次や歓声、ついには『実況』すらも声を出すのを忘れて二人に魅入っている。
先に動いたのはアイラだ。最高速度で真っ直ぐにアイリーンに向かって行く。
対するアイリーンは横薙ぎの軌道で鞭を振る。
鞭の先端からパンッと音がして、両者の位置が入れ替わる。
アイリーンのフードが引き裂かれ、中から整った顔が現れる。
対するアイラは、腹部を覆った鱗が剥がれすべすべのお腹をさらしているが、体には傷ひとつ無い。
おそらく、どちらの攻撃もカスった程度なのだろう。
ダメージの違いは、武器の差だ。
星剣は、あくまでも良く斬れる剣でしかない。
しかし、アイリーンの鞭は【竜殺し】の効果を備えている。
鞭に触れた鱗は、脱落してしまったのだろう。
『な、なんと、ミスターX、エコー選手、両選手とも女性、女性です!!』
実況が興奮して伝える。
『ここで、ミスターX選手についての追加情報です。どうやらミスターX選手は、貴賓席にいらっしゃる灼熱竜様の侍従とのことです。しかし、さすが灼熱竜様。ただの侍従がこの強さとは』
アイリーンが貴賓席のセルヴァを睨む。セルヴァは、見つからないようにするためか、体を小さく丸めて席に座っている。
アイリーンは、ため息をついてローブを脱ぎ捨てる。
中から戦うメイドさんが現れ、おぉ、と歓声があがる。
その間に、すでに鎧の修復を終えたアイラは剣を構えてアイリーンと対峙する。
しかし、
「同じ竜の眷属同士で争うのはよしましょう」
アイリーンが鞭から手を離して降参を告げた。
『どうやら、ミスターXが降参するようです。先程のダメージはエコー選手の方が深刻だったようにみえますが』
『いえ、良く見てください。エコー選手の鎧、完全に元に戻ってますよ。この辺に降参の理由があるんじゃないですか?』
好き勝手な予想を並べる実況。アイラの勝利を告げる審判。
「準々決勝なのに盛り上がりに欠けるな」
「ヒビキの試合が一番派手だったね」
けして、派手では無かったが戦って勝負がついた唯一の試合だ。
「次の試合は派手になりそうだぞ」
第4試合、アマゾネスVSムキムキ魔族。
魔族は今までの試合で剣士相手に全くダメージを受けていない。
同じく剣を使うアマゾネスさんは一体どうやって戦うのか。
「うりゃーーーーー」
普通に剣を振って戦っていた。
「いや、それじゃ勝てないだろ」
思わずツッコんでしまった。
「くっ!?」
しかし、なぜかムキムキ魔族は攻撃を避けている。今まで攻撃は全て自慢の筋肉で受け止めていたというのに。
「彼女の剣、なんだかキラキラしてない?」
ルクスに言われて剣のステータスを見てみる。
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破魔の剣(複製)
【心の光(微光)】
体力、魔力を消費し剣に【光属性】を与える(効果小)。
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どうやら、聖剣のレプリカらしい。
飾りも何も無い無骨な剣だったのだが、中々の業物のようだ。
魔族が避けているのは【光属性】のせいだ。
やはり、魔族には【光魔法】が有効のようだ。
しかし、形勢はすぐに逆転した。
最初は、破魔の剣に怯えていた魔族だったが【光属性】の効果が低いと気付き、攻撃を避けなくなった。
剣が触れたところから白煙が上がったがムキムキ魔族はケロリとしている。
逆に攻撃が当たり始めてからアマゾネスさんの方が消耗し始めた。
どうやら、剣が魔族に触れるたびに剣に体力を奪われているようだ。
【光魔法】と【闇魔法】は、対消滅の関係にあるので、容量の大きいほうが勝つ。
破魔の剣は本来、体力と魔力を消費して戦う剣なので、魔力をほとんど持たないアマゾネスさんではすぐに体力が枯渇してしまうのだろう。
複製で変換効率も悪そうなのも消耗の原因のひとつだ。
「ふん!!」
ムキムキ魔族が力を込めた一撃を放つ。
「ぐっ!」
ムキムキ魔族の一撃を何とか大剣でガードしたアマゾネスさん。
しかし、そこで体力が尽きたのかリングの上にうつ伏せに倒れてしまい敗北した。
『いよいよ、ベスト4が決定いたしました。これより準決勝を執り行います!!』
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