第88話
御前試合は10日後との事なので、2日ほど村で雑事を済ませることにした。
まずは、ラルがスカウトしてきたルーキー達だ。
数は42匹。
とりあえず、ここでの生活に慣れさせながらラルたちに練兵してもらうことにした。
その際、驚化薬+4(闇)をラル、ムサシ、ハモンに飲ませることにした。
これで、作成できた分を全て使ってしまうが、問題ないだろう。
******************************************
ラル (ミリタリーゴブリンコマンダー)
Lv.36 2歳
スキル
【指揮官】
自身より下位同種のモンスターを指揮することができる。
指揮範囲はレベル依存。
【通信】
自身より下位同種モンスターに対して、スキル【通信】を与える。
スキル【通信】を持つ相手と意思疎通をはかることができる。
効果範囲はレベル依存。
【軍属】
指揮下のモンスターに『ミリタリー』の種族名を与える。
******************************************
******************************************
ムサシ(ブショウゴブリン)
Lv.35 1歳
スキル
【心眼】
相手の動きを予測できる。
【一騎当千】
集団戦闘時、ステータスが上昇する。
******************************************
******************************************
ハモン(ミリタリーゴブリンサージェント)
LV.27 3歳
スキル
【鬼軍曹】
自身よりレベルの低い相手の成長を促進する。
対象は、肉体的、精神的な苦痛を伴う。
******************************************
全員無事に秘めた力とやらを発揮できたようだ。
ラルの【通信】は、かなり役に立ちそうだ。
ムサシの【一騎当千】は俺が使うより、ムサシが使う事のほうが多そうだ。
ハモンの種族名にミリタリーが着いているのは【軍属】の効果なのか?
しかし、ムサシには着いていない。
違いが分からん。
しかし、【鬼軍曹】か。まあゴブリンも小鬼と表示されることもあるのだから間違いではないか。
効果もルーキーが入ってきた今、非常にありがたい。
とりあえず、ラルとハモンでルーキーを中心に鍛えておいて貰おう。
これで、モンスターたちについてはいいだろう。
次はサイとの打ち合わせだ。
「ブレトは今、かなり景気がいいみたいだな」
モンスターの大群との戦闘には勝利したが街の外壁を破られかけたり、空を飛ぶモンスターに街の中まで入られたりと結構な被害が出ているようだ。
そんな街の被害の復旧の為、様々な物が今ブレトに集められているらしい。
復興支援の為の国からの補助金のおかげで急ピッチでの復興が行われているとの事。
商人の中には、襲撃の前より稼ぎが増えたと喜んでいる奴らもいたらしい。
「復興途中のブレトで嗜好品の需要があるのか?」
白磁器はどう考えても嗜好品の類だろう。そんなものが本当にブレトで売れるのだろうか。
「それが、かなり売れてるみたいだ。支援者を集めたパーティなんかも頻繁に開かれてるみたいだからな。噂が噂を呼んで俺があっちを出発するときには王族すら欲しがってるなんて噂もあったな」
その噂はおそらく真実では無いだろう。
白磁器はまだ日の目を見たばかりだ。ウェフベルクならともかく、卸すのも今回が初めてなブレトでは噂になってもせいぜい街の貴族までだろう。
とはいえ、
「少し増産するべきかな?」
「ここで作っても運ぶのは俺達だろ?定期便の数を増やさなきゃ結局同じじゃないか?」
「そうだな。スカウトしてきたルーキー達の調練が終わったら、増やすつもりなんだが」
とりあえず、その時の為にストックを持っていてもいいかもしれない。
「あと、御前試合に出る『勇者候補』について教えてくれ」
「御前試合に興味があるのか?」
「賞品に気になる物があるからな」
「そうか、確かにヒビキならかなり良い所までいきそうだもんな」
「あまり目立ちたくはないんだけどね」
特に今回は王族が見に来る御前試合だ。
「そうだな、まずは『双天勇者』。ルクスの事だな」
優勝候補筆頭。相手を防御ごと吹き飛ばす『激剣』の使い手。
一対一での戦闘のみならず、一対多数の戦闘でも強いのは先のモンスター襲撃の時に証明されている。
「聞けば聞くだけ勇者だな」
「だな、次は『伝統勇者』だな」
勇者を多く輩出している剣の流派の師範らしい。
その剣技は対人、対モンスターのみならず、対魔王の技すらあるとの事。
「こいつも剣術タイプか。勇者って魔法使えたらダメなのか?」
でも、【雷魔法】は勇者の魔法だって言ってたけど。
「魔法を使う勇者だっているさ、『疾風勇者』って奴はすげえ【風魔法】の使い手らしいぜ」
文字通り風のように縦横無尽に飛び回り敵を倒すそうだ。
俺の【風魔法】ではまだ空は飛べない。それだけでも、俺以上の【風魔法】の使い手だと分かる。
「とりあえず、俺が聞いたのはこの3人かな。開催までまだ日があるから増えるかも知れないけどな」
ルクスを含めて3人。少ないのか多いのか分からんな。
対策を考えておこう。
サイとの話し合いを終えてすぐにルクスに試合に参加すると伝え、残りの時間を試合の為の準備に割り振った。
今回は、『ゴブリン運送』の仕事としてではなく試合参加の為に馬車を出すことにした。
ルクスが運賃を払うと言って来たが断った。
今回ブレトに行くに当たって、アイラ、エミィ、ジルは一緒に行くことになった。
もちろん、ルビーもついて来る。後はゴブリンエリート系を10匹ほどとムサシを連れて行くことにした。
ヴェルゴードやピノも行きたがっていたが、ヴェルゴードは冒険者ギルドの依頼、ピノは村の外での安全の確保が出来ないという理由で残ってもらった。
セルヴァは、試合は面白そうだけど馬車は嫌だから自分で飛んでいくそうだ。
御前試合の前日中に出発すれば余裕で到着すると言っていた。
サイは次の便のこともあるので、荷物の準備が出来次第出発するそうだ。
「じゃあ、しばらく留守にするけど村の事よろしくな」
「グギャ」
ラルが敬礼しながら答えた。名前にミリタリーがついてさらに体が大きくなっている。
「俺も御前試合がやってるうちにはブレトにつくと思うから、それまで負けるなよ」
御前試合は、一般参加者も募っていてまずは予選に勝ち残らなければならない。
サイは、本戦には間に合うからちゃんと勝ち残れといっているのだろう。
「ああ、やれるところまでやるさ」
村のみんなに送られて、ブレトに向かう俺達。目指すは御前試合第3位、星くずの指輪。
けして優勝とかしないように頑張らねば。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。