俺は犬獣人のリナを選んだ。華奢な見た目と勢い良く振られる尻尾に魅了されてしまった。

「ご指名、ありがとうございます。精一杯頑張らせていただきますね」

　奥の部屋からリナに連れられて個室へ向かう。
　リナは俺の右腕に両手を絡ませて歩いている。ボリュームには欠けるが触れている部分が全て柔らかく女性を感じさせる。

「どうぞ」

　個室の中は灯りが抑えられて雰囲気がある。部屋の真ん中に大きなベッドと、簡易なシャワー設備のある小部屋である。
　そして窓には厚手のカーテン。なるほど、そりゃ中を見せるわけにはいかないか。

　部屋を見渡しているとリナに後ろから抱きすくめられた。

「お客様、お名前を伺ってもよろしいですか？」

「あ、ああ、ヒビキだ」

「ありがとうございます。ヒビキ様とお呼びしてもよろしいですか？」

「そ、そうだな」

　部屋の空気に当てられたのか、やけに緊張してしまう。

「ふふ、大丈夫ですよ」

　どうやらリナには俺の緊張を見抜かれてしまったようだ。
　服を一枚一枚、リナに脱がされていく。最後の一枚まで全てだ。

「では、ヒビキ様、こちらにどうぞ」

　されるがままにシャワー室に連れて行かれ、念入りに体を洗われる。

「お加減はよろしいですか？」

「あ、ああ、問題ない」

　アイラたちで経験を積んでいるのでこんなに緊張する必要はないんだが、なぜかアイラと初めて同じベッドで寝た日を思い出してしまう。
　あの日もガチガチに緊張してアイラを必要以上に消耗させてしまった。

「ヒビキ様？どうされました？」

　体を洗い終え、ベッドに戻った俺達はお互い裸だ。リナは、左腕で胸元を隠しながら右手で俺をベッドまで連れてきてくれた。しっぽが水を吸ってやや細くなっている。
　それが本能的に嫌なのか、腰をくいっ、くいっと左右に振っている。揺れる小ぶりな尻を目で追ってしまう。
　リナのその姿を見ただけで、俺の体はすでに準備が出来てしまっていた。

「今は私の事だけを考えて下さいね？」

　どうやらアイラの事を考えていることまでばれているようだ。
　同い年くらいに見えるが鋭い。

「えいっ」

「うわっ」

　俺がまだ煮え切らないためかリナが俺をベッドに押し倒す。目の前に先ほどまで隠されていたリナの双峰が現れた。

「ふふ、おっぱい小さくてごめんなさい」

「い、いや、そんなことは」

「ヒビキ様」

「あ、ああ」

「さわって頂けませんか？」

　その時のリナの顔にドキッとしてしまう。躊躇っていると、リナは俺の手を自分の胸に押し付ける。
　やわらかい。そうだ、これは俺の知っているもの（おっぱい）だ。
　ようやく緊張も解けて楽しむことに集中できる。手始めにこの手の中のものを堪能する。

「やぁん」

　リナもようやく俺がやる気を出したのに気がつき盛り上げてくる。
　責められっぱなしは性に合わない。こちらから攻めさせてもらおう。
　まずはこの体勢。するりとリナの下から抜け出してマウントを取る。

「ふ、ふぇ？」

　組み伏せたリナの|急所（いぬみみ、しっぽ）を同時に攻めたてる。

「ちょ、ちょっと待ってください！？　あぁ～、あぁ」

　少々、刺激が強すぎたようだ。リナが粗相をしてしまった。
　耳がくてんと折れ曲がり悲しさをアピールする。

「ま、待ってくださいっていったのに～」

　もちろん、リナだけ楽しませる訳にはいかない。今度は俺も楽しませてもらう。

「はむ」

「きゃんぃ」

　まずは動きを封じるために犬耳を唇と舌で愛撫する。手で垂れた犬耳を持ち上げ、内側を舌でなぞると、リナがぶるぶるっと小刻みに震える。
　前から、後ろから、向きあったり、顔を合わせなかったり、あらゆる方向からあらゆる所を楽しませてもらう。

「も、もうダメです。少し、少しだけ休ませてください」

「ああ、じゃあこれが済んだら一緒にシャワーを浴びよう」

「い、一緒に！？　体洗うだけです、よ、ね？」

　俺はにっこり笑う。はいもYESも言わない。

「た、助けてくださ～い！！」

　ベッドから転げ落ちるように逃げ出したリナをすぐに捕まえて今度はシャワー室に向かう。

「さて、夜は長い。ゆっくりいこう」

「わ、わぉ～ん」

　その夜は、いつもより犬の遠吠えが良く聞こえる夜だったとのことだ。





　朝日が目にしみる。亜人の、特に犬獣人の娘の体力と適応力には舌を巻く思いだ。
　結局俺が主導権を握れたのは、2度目のシャワーまでだった。
　シャワーからあがったリナはまさに野生の本能むき出しで俺に挑んできた。
　今の俺の体はリナの歯型だらけだ。さすがに大事なムスコへの噛み付きは死守したが俺の体で彼女の唇が触れていない所など無いと断言できる。

「ご利用、ありがとうございました。またのご来店を楽しみに、本当に楽しみにしてお待ちしております！！」

「あ、ああ、またいつか、ね？」

　リナの尻尾が取れるんじゃないかと思うくらいに振られている。


　俺の技と味を覚えてしまったリナは手に負えなかった。いや、確かに気持ちよかったんですけどね。
　魂にも重さがあるんじゃないかな？今の俺、魂分軽い気がする。
　ほうほうのていでゴブリンの村まで辿り着く、気分は軽く敗残兵だ。


「よそのメスの匂いがします」

　ただいまといいながら扉を開けると、アイラがおかえりより先にそんなことを言い出した。

「おかえりなさい。ご主人様。どういうことでしょう？」

　エミィはおかえりだけは言ってくれた。本当におかえりだけだ。
　2人に玄関で問い詰められ続けていると、今起きたのかジルが寝間着姿であくびをしながらやってきた。

「なんの騒ぎじゃ？朝っぱらからうるさいのぅ」

　アイラとエミィが事情を説明する。しかし、ジルはなんでもないことのように言い放つ。

「何じゃそんなことか、良いではないか主も男じゃよそに女の1人や2人おってものぅ」

　ジル、お前って奴はーーー

「過ぎたことを言っても仕方ないじゃろ？よその女の匂いが嫌なら上書きするしかないじゃろぅ？」

　ジル、お前って奴はーーーーー！！

「なるほど、そうですね、ではご主人様こちらへ」

「ご主人様、すりすり」

「うむ、わらわも匂いつけしておくかのぅ」

　俺は、今日、死ぬかもしれない。