中西投手コーチ(中)も藤浪(左)のゴルフセンスを絶賛した(右は岩田)【拡大】
ビューン!! どんよりとした雲を切り裂くように白球が空高く飛んでいった。あまりの迫力に、小鳥は逃げ、辺りの木々は揺れた。誰だ、このとんでもない怪力の持ち主は!? ボールを追いかけて、280ヤード先から走ってくる長身の若者は…藤浪だ!! 黄金右腕が、いきなりけた違いのパワーを見せつけた。
「楽しかったです」
ラウンド後に浮かべた満面の笑みに、充実感がにじみ出ていた。中西投手コーチ、岩田と午前8時頃からスタート。その1番ホール(パー5、507ヤード)で、さっそく大物ぶりを発揮した。
プロ1年目のオフ。実質デビュー戦のスタートホールで、いきなりドライバーで280ヤードとは恐れ入る。しかも担当したキャディーさんは「最初の1番ホールでは真っすぐ飛んでいったので、280ヤードは飛んでいました。そのあとは左右に飛んでいたのでわかりませんが、ちゃんと当たったときは280は飛んでいましたよ」と、連発を証言。この飛ばしっぷりに中西コーチも「体の使い方がうまい。センスがある。遠心力もあるな」と驚きの声を上げた。
最終的なスコアは134(OUT65、IN69)と選手の部の最下位。さすがに甘くなかったが、17番(パー3、169ヤード)ではピンから9メートルの位置につけてニアピン賞まで獲得した。壇上で賞品を受けとった19歳は「僕のときだけ風がなかったので、たまたまです。良かったと思います」と謙遜したが、“タイトル”を逃さない勝負強さも、さすがだ。