杉田陽平|めぐり逢う時間たち
2012年4月21日(土)−5月26日(土)12:00-19:00開廊(日月祝日休み)
*5月3日(木)-5月7日(月)は休廊いたします。
オープニング・レセプション:4月21日(土)18:00-20:00
スプラウト・キュレーションでは、今最も注目が集まる気鋭のペインター、杉田陽平の個展を開催いたします。
杉田陽平は、これまで、一貫して人間の身体と心にまつわる苦悩や喜びをテーマとして制作活動を続けてきました。特に、3.11の未曾有の大震災や原発事故を受けて、その眼差しは、作家個人の事象からより普遍的なものへと変化してきています。
今回の個展では、イギリスの女性文学者ヴァージニア・ウルフの世界観に示唆を受けた、オイル・ペインティングの新作10点を発表いたします。この機会にぜひご高覧ください。
Yohei Sugita | The Hours
April 21 – May 26, 2012 *The gallery will close 3-7 May.
SPROUT Cuation is delighted to announce a solo exhibition by Yohei Sugita who is one of the most emerging young artists.
He has worked, throughout his career, on the theme of pain and pleasure concerning the human body and mind. Especially, after the tragedies on 3.11, his eyes have been turning from on the individual affairs toward the more universal phenomenon.
In this exhibition, the artist will present a dozen paintings (include the new works) inspired by the world of Virginia Woolf.
Please contact the gallery for further information.
〈作家ステートメント〉
今回の個展は日本人の人間の特有の根源的苦悩(性別、身体的、環境、)を儚くも、強く、美しく、切なく描きたいという思いから作品作りを開始しました。日本はこれからどこへ向かいどうなってしまうのか。様々な問題(性別、身体、環境、国)を抱える中でどこかで、それでも私たちの世界は休むことなく動いている。
自分の足で町を歩いてみると、止まらない時間の中、日常と非日常が交差していることに気づきます。最近になって「作品を完成へと繋いでいくことは、今日と明日を繋ぐ大切な日常なのだ」と思えるようになってきました。そうしてはじめて、この「めぐり逢う時間達」という展覧会が見えてきたように感じています。豊かさの中で、いつの間にか当たり前で確かだと思い込んでいた景色は、もうありません。それぞれが、ここからはじまる景色と強く向き合わなければならないのです。
しかし、ここから前を向いていこうとした時、ふっと遠くの景色が浮かぶような懐かしい景色を思い出す瞬間に出会えるような、そういう展覧会に私はしたいです。今、それぞれの生活の場所からやってきた思い出の写真をつないで、それをモチーフに絵を描いています。一つの糸が、今まで誰かの心の庭を彩り息づいていた時間の地図だと思うと、その一枚一枚の地図を繋ぐ作業は、それぞれの景色を結ぶ作業であり、また人と人とを繋いでいく作業でもあるのだと思います。毎日少しずつ大きくなるこの小さな景色は、世界の綾を織り込み重ねるように広がっています。
−−「糸」はこの手からこの声からどこまでも繋がっている。
遠い国、これから生まれる新しい出逢い、隣に今まであったそれぞれの見慣れた景色へも。
逢うべき糸に出逢えることそれを人は仕合せと呼びます。
「糸」+「会う」=「絵」
織りなす布が、いつか誰かを暖めますように。
2012年3月30日 杉田陽平