焦点:畑中金融庁長官が異例の3年目、人繰りの難しさも
[東京 28日 ロイター] - 金融庁の畑中龍太郎長官が在任3年目に突入した。これまでは2年で退任するケースが慣例となりつつあったなかで、異例の長期政権になる。
旧大蔵省から分離した金融庁は所帯も小さく、限られた人材をやりくりしなければならない難しさも背景にある。
記者会見した麻生太郎財務・金融相は、畑中長官の続投人事について、財務省に比べ金融庁は人数・人材が限られているとし「優秀な人材は、最後の最後まで使った方がいい」と説明した。
畑中長官は90年代の住宅金融専門会社(住専)問題などで金融行政に携わり、監督局長としては日本振興銀行の破たんに伴う初のペイオフを陣頭指揮した。長官としてはシステム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)や増資インサイダー問題に揺れた野村ホールディングス(8604.T: 株価, ニュース, レポート)に厳しい行政処分を迫るなど「剛腕の畑中」として金融業界から恐れられてきた。
実績を残してきた一方、ことし3月には資金繰りに苦しむ中小企業の支援を目的とした中小企業金融円滑化法が終了するなど行政課題も一段落したことから、トップ交替のタイミングとの見方もあった。
金融庁発足からの歴代長官は7人。このうち3年の在任期間を務めたのは 2004─07年の五味廣文氏だけだった。政策的には、不良債権処理など金融危機への対応から利用者保護へと金融行政の軸足を移す局面でもあり、「留任の必要性もあった」(金融庁関係者)。
今回の金融庁人事で、証券取引等監視委員会を含め5つある局長級ポストで退任は2人。昨年は誰1人動かなかっただけに「人事の流動性は確保された」との見方がある一方、長官留任で「財務省と比べ、停滞感は否めない」との指摘もある。
財務省ではことし、真砂靖次官が在任1年で交代する。畑中長官の入省年次は1976年のため、1978年入省の真砂次官が退任し79年入省の木下康司主計局長が次官に就く財務省との年次差は、3年に拡がる。
ただ、庁内には「天下り先の限られる金融庁の場合、年次が高くなっても仕方がない」との見方もある。
(平田紀之、布施太郎)
© Thomson Reuters 2013 All rights reserved.