福島県:前知事に退職手当7726万円返還命令
毎日新聞 2013年11月27日 12時55分(最終更新 11月27日 13時54分)
福島県発注のダム工事を巡る汚職事件で、有罪が確定した佐藤栄佐久・前知事(74)=5期目途中で辞職=に対し、同県が条例に基づき、3、4期目の退職手当計7726万6700円の返納を命令していたことが分かった。佐藤氏側は「事件そのものが冤罪(えんざい)」などとして異議を申し立て、返納を拒否。県は地方自治法に基づき、県議会に諮問して対応を決める。
佐藤氏は汚職事件で収賄罪に問われ、昨年10月に最高裁が上告を棄却。懲役2年、執行猶予4年とした2009年の2審・東京高裁判決が確定した。
これを受け県は、在任期間中の行為が禁錮刑以上の処罰を受けた場合に返納を命じることができると規定した県条例に照らして検討。佐藤氏らがダム工事の入札で建設会社に便宜を図ったとされた00年(3期目)と、見返りを受けたという02年(4期目)が対象になると判断。今年6月に返納命令を出した。
佐藤氏側は同8月に異議申立書を提出。佐藤氏は取材に「法的な手続きは代理人弁護士に任せているが、県の職員であれば事件が虚構であることは分かっているはずで、残念だ」と話した。
一方、県は今年6月、5期目は事件と関係なく条例に抵触しないと判断し、退職手当1805万7900円を支払った。【蓬田正志】