愛知県内で朝鮮学校を運営する愛知朝鮮学園の施設「名古屋コリアンスクール」(名古屋市千種区)の土地と建物の競売で、名古屋地裁は27日、開札を行い、名古屋市中区の不動産会社「CIP」が約3億8720万円で落札した。審査を経て、地裁が12月4日に売却許可を決定する。

 入札は11月13~20日にあり、8件の参加があった。土地(約2140平方メートル)と建物(築52年、鉄筋コンクリート3階建て)を合わせ、購入できる下限価格は約1億6700万円だった。CIPの粟津原茂人社長は「学園とは関係ない。建物を取り壊し、住宅地として売却する予定」としている。

 この施設は愛知朝鮮第二初級学校として使われていたが、2000年に名古屋朝鮮初級学校(同市中村区)に統合され、現在は分校として一部の授業やクラブ活動に使われているという。

 土地と建物は1990年代に旧朝銀愛知信用組合が融資の担保として根抵当権を設定。99年に同信組が経営破綻(はたん)した後、債権を引き継いだ整理回収機構が、名古屋地裁に競売を申し立てた。融資を巡っては11年、同機構が同学園を相手取り、元金と未払い利息などの支払いを求めて提訴し、名古屋地裁で係争中だ。

 同学園は「機構には、裁判で決着がつくまで競売を取り下げてほしいとお願いしてきた。開札に至ったことはたいへん残念だ」とのコメントを出した。(黄)