ゴールドマンやBOAがベネズエラ支援へ、金下落でドル不足
11月27日(ブルームバーグ):米ゴールドマン ・サックス・グループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)を含むウォール街の金融機関は外貨準備 不足に直面するベネズエラに対して米ドル確保を支援する取引を提案している。
ブルームバーグ・ニュースが入手した文書によると、ゴールドマンがベネズエラに提案したスワップでは、同国は中央銀行が保有する18億5000万ドル(約1880億円)相当の金を担保に16億8000万ドルの現金を手にする。またBOAは企業への30億ドル相当の支払いで仲介役を務める用意がある。いずれの取引も完了していない、と政府当局者が匿名を条件に述べた。
ベネズエラではドルが不足し、医薬品やトイレットペーパーなど物資の供給が細っている。同国は消費するモノのほぼ4分の3を輸入に頼っている。金外貨準備は今年28%減少 し今月は9年ぶり低水準の207億ドルとなった。資産の70%が金であることが資金不足の主因。金価格は今年に入り26%下落した。金の下落でベネズエラ政府は対外債務の返済に苦戦している。
ウェスタン・アセット・マネジメントで運用に携わるロバート・アバッド氏は26日の電話インタビューで、「ドル不足は経済崩壊の症状だ」とし、「犠牲者は実体経済であり生身の国民だ」と語った。
文書によると、ゴールドマンの「トータル・リターン・スワップ」は7.5%プラス3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の金利を課す。契約期間7年での調達コストは概算で8億1800万ドルになる。金相場が下落すればベネズエラが証拠金口座に置く金を積み増す。金が値上がりした場合はゴールドマンがドルを追加する。
金準備の貨幣化アバッド氏はベネズエラが金準備を貨幣化する可能性について、「典型的な新興市場の不透明なやり方だ」とし、「何が起こっているのかは推論や憶測をするしかない」と話した。
文書によると、BOAはベネズエラ企業に、通貨ボリバルの公定レートよりも低いレートでドルを供給する。仲介役として1.25%の手数料を受け取る。BOAが仲介することで中銀が公定レートより低いレートで取引することを避けられる。
ベネズエラは為替管理制度(固定相場制)を敷いており、外貨管理委員会(CADIVI)が外貨取引を管理している。2月の切り下げ後の公定レートは1ドル=6.3ボリバルだが、闇市場では1ドル=約60ボリバルで取引されている。
カラカスのコンサルティング会社エコアナリティカのディレクター、アスドルバル・オリベロス氏によれば、CADIVIは承認済みの約82億ドルを国内企業に配布できていない。
BOAとゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。ベネズエラ中銀の報道官は匿名で、提案について何も情報を持っていないと述べた。
原題:Goldman Sachs to BofA Offered Venezuela Deals to Drum UpDollars(抜粋)
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更新日時: 2013/11/28 01:29 JST