大阪のオフィスビルでテナントの引き抜き合戦が白熱している。日本生命と住友生命は27日、４～９月期決算を発表した記者会見で大阪市内の保有ビルの９月末の空室率を明らかにした。日生は大口テナントが退去したため３月末に比べて悪化した一方、住生は「新築ビルのテナント引き抜きに対して防衛に努めた」（橋本雅博専務執行役員）ことが奏功し空室率は改善した。生保２社で明暗が分かれた。
住生が大阪市内に保有するオフィスビル18棟の空室率は３月末の４％台前半から３％台後半に改善。住生は増床を検討するテナントに同じビルの別の階を薦めたり、別の保有ビルへの移転を促したりした。
大阪市内に38棟を持つ日生は「営業活動を強化したが大口退去の後を埋めきれなかった」（三笠裕司執行役員）。景気回復期待の高まりとともに、企業がオフィスを移転・拡張する動きがじわりと広がっている。その機を捉えてグランフロント大阪など新築ビルへのテナント引き抜きが相次いでいる。
賃料も「東京や名古屋では上昇傾向にあるが大阪は横ばい」（住生）で、両社とも大阪のオフィスビル運営は厳しい環境が続くと予想している。
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