【モスクワ=石川陽平】ウクライナのヤヌコビッチ大統領は26、27日の地元テレビとのインタビューで、11月末に予定していた欧州連合(EU)との連合協定の調印を先送りする考えを正式に表明した。自由貿易協定(FTA)を含む連合協定が発効すれば、ウクライナ経済の苦境が深まると判断した。調印先送りで同国の欧州への統合路線は後退。ロシアと関係改善を急ぐ。
ヤヌコビッチ大統領は26日夕、EUとの連合協定に関連し「ウクライナ経済がもっと強くなるように全力を尽くす」と強調。「正常な条件で合意できるように」なるまで先送りする考えを示した。ロシアとEUの間に位置し、戦略的に重要なウクライナの協定調印でロシア離れが進めば、欧州の東方進出に弾みがつくとみられていた。
ウクライナ大統領府のホームページに掲載された大統領の発言によると、国内の生産設備や製品の品質をEU基準に合わせるには2017年までに1600億ユーロ(約22兆円)の費用がかかる。だが、EUからの支援額は約6億ユーロにとどまると不満を示した。国際通貨基金(IMF)の融資再開のメドも立っていない。
ヤヌコビッチ氏の判断の背景には、15年の大統領選で再選を目指す政治的な思惑もある。欧米からの十分な支援がないまま競争力のないウクライナが市場開放に踏み切れば、短期的には急速な経済悪化で国民の支持を失いかねない。ウクライナのEUへの接近を阻みたいロシアから貿易制限など強い圧力を受けたことも影響した。
ヤヌコビッチ大統領はインタビューで、EUとの自由貿易圏の形成に始まる欧州統合路線を堅持する考えを重ねて示した。ただ、ロシアの影響圏から脱する「歴史的選択」とされた今回の連合協定の調印先送りで、ウクライナの欧州統合路線は後退が避けられない。調印問題は少なくとも15年の大統領選以降に持ち越される見通しだ。
ウクライナは今後、ロシアや他の旧ソ連諸国との経済関係の改善に乗り出す方針。ウクライナの欧州統合路線の後退を受け、ロシアのプーチン大統領は26日、280億ドルに達するウクライナの対ロ債務の再編に応じる考えを表明した。自ら主導する旧ソ連諸国との経済統合計画に同じスラブ民族の有力国ウクライナを誘い込む狙いがある。
ウクライナではヤヌコビッチ大統領の政敵で服役中のティモシェンコ前首相が、政権の路線転換に抗議して無期限のハンガーストライキに入った。首都キエフなど欧州志向の強い各都市では若者や野党勢力を中心に抗議集会も起きており、内政が不安定になっている。
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