教えて県民くん
記者が「県民くん」に変身し日常の疑問を取材します
【福井発】秘密法案、衆院通過 不安と懸念と危機感2013年11月27日 県民の声 必要性に一定理解も国の安全保障に著しく支障を与える情報を「特定秘密」とする特定秘密保護法案が二十六日夜、衆院を通過した。県民からは必要性に一定の理解を示す声がある一方、「隣国に不信感を与えないか」「国民の知らない間に国に何かされないか」など危ぶむ指摘も聞かれた。 (特定秘密保護法案取材班) 【国の安全保障】 「日中、日韓関係が悪化したら、今後はどうなるか分からない」。福井市の会社員、山口尚微(なおみ)さん(25)は、法案の根拠に一定の理解を示す。同市鮎川町のパート、小林千世子さん(68)は「アメリカにも脅かされている気がする」と意味深長な発言も。 一方、勝山市旭町二丁目の団体役員、四谷憲夫さん(72)は「情報を隠しすぎることで中国や韓国など、隣国に必要以上に不信感を与えかねない」とも指摘。第三者委員会などで機密事項を判断するなど、適正な運用を望んでいる。 【知る権利】 憲法で規定されている国民の知る権利を制限する同法案。身近なようでもある国民の知る権利とは? 四谷さんは「国民が安全で安心して暮らすための情報を具体的に知ること」と回答。大野市水落町の建設業、横田伊太郎さん(38)は「役所などの動向に関する情報を得ることだと漠然と思っている」とする。一方で「得たところでどうする、と思ってしまう」と、それほど権利を身近に感じられていないようだ。 【法案への懸念】 越前市の和紙製造業従業員の女性(51)は「国民の知らない間に何かされてしまうのでは」と不安を漏らす。敦賀市清水町の会社員、杉下俊博さん(54)は「政府にとって都合のよい情報ばかりが表に出れば、選挙で与党が勝ち続けてしまうのでは」と、与党の政治利用を懸念する。二十代の山口さんは「国に都合の悪い情報は、すでに隠されていると思っている」と若者の声を代弁。「だから、若者は政治に興味がなくなっていると思うんです」と政府へのあきらめも漏れた。 特定失踪者家族会と原発行政への影響も心配拉致被害者の情報、原発の安全性に関する情報は「特定秘密」になるのか−。県内の関係者は、特定秘密保護法案の衆院通過に危機感を募らせている。 県特定失踪者家族会の沢香苗代表(57)=若狭町三方=は「家族は、どんな情報でもいいから欲しいと思っている。たとえ帰ってきていても、家族に秘密にされることがあるのではないか」と法案に不信感を募らせる。 政府の示す「国の安全保障に著しく支障を与える情報」の中には、情報が特定失踪者と家族とをつなぐ命綱であるという視点が欠けている。沢さんは「私たち家族は、いい情報も悪い情報も受け止める覚悟ができているのに」と声を落とす。 安倍政権はこれまでの政権と違い、拉致問題への対応を進めているように感じる部分もある。「政治が変化しているのは感じる。しかし、進展はしていない」。そんな思いを強くしている。 一方、原子力発電に反対する県民会議の中嶌哲演代表委員(71)=小浜市門前=は「防犯やテロ対策を口実に、国民に必要な情報を堂々と隠蔽(いんぺい)するだろう」と同法を厳しく批判する。 福島原発事故でSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を適切に公開しなかったことにも触れ、「原発行政の秘密主義は同法でますます加速するだろう」と話す。 国民の意見を聞くこともなく、議論も十分尽くしたと言えない状況に「拙速に法案可決を目指すのは、原発再稼働や改憲に反対する国民世論や運動を押さえ付けるためではないか」とまで言い切った。 PR情報
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