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最終更新:2013年11月26日(火) 19時57分

外国への秘密提供、情報収集大国・アメリカの現状は

 今回の法案には「外国への特定秘密の提供」という条文があるのをご存じでしょうか?主に同盟国アメリカへの秘密提供が増えることが予想されるのです。国家安全保障局=NSAによる世界的な情報収集活動が暴かれるなか、問題点はないのか、アメリカの現状を取材しました。

 「いきなりNSAの人間が来て、責任者と話がしたいと言うんだ。そしてしばらくして、NSAが支店の中に極秘の施設を作り始めたんだ」(元AT&T社員のマーク・クラインさん)

 アメリカ最大の電話通信会社AT&Tで働いていたマーク・クラインさん。NSAの職員が通信ケーブルに細工をするため極秘の部屋を作る、その一部始終を目撃したといいます。

 「そこでは信号が通過する瞬間に、その中身を全て見ることができた。そしてキーワードを入れれば、何でも検索できた。例えば、『東京からのEメール』というようにね」(マーク・クラインさん)

 「641A」と名付けられたこの部屋で、基幹ケーブルを根こそぎコピーするという前代未聞のオペレーションが始まりました。基幹ケーブルとは、世界各地から/?.$5$l$?EEOC$d#E%a!<%k$J$I$"$j$H$"$i$f$kDL?.$r=8Ls$9$k$$$o$P>pJsDL?.$N5pBg$J8r:9E@$G$9!#

 グーグルやアップルなど、世界的なネット企業がアメリカに本社を置いているため、世界の情報通信の8割がアメリカの基幹ケーブルを経由するといわれています。この基幹ケーブルの信号を丸ごとコピーする事で、メールの中身や画像、銀行取引などあらゆる通信がその内容まで根こそぎNSAに送られる事になるといいます。

 この「根こそぎ傍受」に世界が注目したのは、元CIA職員スノーデン氏の告発がきっかけでした。携帯電話の盗聴に加え基幹ケーブルからの傍受が明らかになると、同盟国からも非難の声が相次ぎました。

 訪米計画を直前でキャンセルしたブラジルのルセフ大統領は、「根こそぎ傍受」から自国の情報を守るため、ブラジル国内で完結するネットワークの構築を宣言しました。

 「NSAは最初に全ての信号を根こそぎ入手し、後から必要な情報を抽出するのです。最初は安全保障上の目的で始まったものでも、脱線して違うことに流用したくなる。その欲求には歯止めがきかない」(違法傍受を告発するシンディ・コーン弁護士)

 日本の秘密保護法案には、まるでNSAの活動を追認するかのような「外国への特定秘密の提供」という条文が入っていますが・・・

 「この法案を提出するのは、海外からクレームが来るからではない」(森まさこ少子化相〔秘密保護法案担当〕)

 この森大臣の答弁とは裏腹に、日本政府の高官はこのように打ち明けます。

 「2011年にNSAから、光ファイバー経由の通信傍受に協力するよう打診を受けた」(日本政府の高官)

 2011年は、アメリカの要請を受け日本の政府内で秘密保全に関する法案作りが進められていた時期と重なりますが、機密情報を渡すためには秘密保全のための法整備が不可欠だと繰り返し主張してきたのが、アメリカの国防総省でした。

 NSAが国防総省の中の組織だからこそ、秘密を守るはずの法案に、「外国に秘密を提供する」という条文が紛れ込んだといえます。

 世界が強い警戒感を抱くアメリカの情報収集について、どこまで日本政府のチェック機能が働くのかも今回は問われています。(26日17:18)

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