自身2度目のランクル賞受賞が決まった楢崎=トヨタスポーツセンターで(隈崎稔樹撮影)
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第19回グランパスランクル賞の最優秀選手賞に選ばれた名古屋グランパスのGK楢崎正剛(37)が26日、プロ20年目を迎える来季以降への意欲を語った。残り2試合で10位という現状に向上心をかき立てられ、「もっとレベルアップできる。モチベーションが続く限りやる」と宣言した。不惑が近づく守護神。そのストーリーのエンディングはまだ見えない。
本来なら手放しで喜んでいいはずのランクル賞受賞にも、楢崎の表情はいまひとつ晴れなかった。「気恥ずかしい気持ち。今年に関しては胸を張って表彰される選手は誰もいない」。V奪回を掲げながら低迷した今シーズン。2001年以来、12年ぶり2度目の栄誉にも、主将としての責任感を強くにじませた。
GKとしても不完全燃焼の一年だった。「チームのミスを個人的な能力で帳消しにできるポジションなのに、今年は『救った』という場面が少なかった。防げた失点も多々あった」と楢崎は苦々しく振り返る。
4月20日のFC東京戦からは13試合連続失点の屈辱を経験。チームで唯一の全試合フルタイム出場も、楢崎のプライドを満たすには程遠い。「正直言って(スタメンから)外されてもおかしくないと思った」。守護神剥奪さえ覚悟していたという。
悔しさを一掃すべく、視線は自然と来季へと向く。「最近は出場試合数のことを言われるけど、何試合出たかじゃなく、何を成し遂げたのかが大切なんです」
Jリーグの出場試合数では「534」で歴代トップに立っている。選手としての名声は極めた。残っているのは純粋な勝利への欲求。「もう一度あの喜びを味わいたい」と語る優勝が、最大最高の目標であり続ける。
「自分は名前だけでプレーするつもりはない。セービング、ステップ、判断…、すべての面でもっとレベルアップできる。それがチームのプラスになる」と楢崎。20年目の大台に突入することについて、「このモチベーションが続く限りやる。今は先がわからない」
すでにサッカー史に名を残す現役レジェンドは、一人のGKとしてさらに道を究めていく。 (木村尚公)
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