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【千葉】

秘密保護法案 私の不安(上) 基地現状、聞くだけで罪?

◆「パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会」代表 吉沢弘志さん(60)

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 与党が委員会採決を強行し、二十六日に衆院通過した特定秘密保護法案に対し、県内で市民運動にかかわる人たちからも「拙速だ」との声が上がった。自衛隊基地、原発、憲法といった問題で活動してきた市民らは、国の情報が開示されない壁に悩んできた。同法案により、政府による情報統制や自分たちの運動が罪に問われる可能性を懸念する三人に意見を聞いた。  (村上一樹、三輪喜人、砂上麻子が担当します)

 審議入りして二週間余りでの衆院通過は、あまりに拙速だ。

 十年ほど前に、船橋市の(自衛隊の)習志野基地近くに引っ越した。住み始めて三日ぐらいしてから、パラシュート降下訓練による大型ヘリコプターやジェット機の爆音が聞こえびっくりした。

 二〇〇七年十一月、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が習志野基地に配備された。その後、基地の火薬庫が貯蔵量一トンから二十一トンへと建て替えられた。住宅密集地の真ん中にあり、市民団体としてPAC3や火薬庫の撤去を求めてチラシ配布やデモをしている。

 北朝鮮の弾道ミサイルに備えPAC3を基地から移動させる時など、防衛省に「移動はあるのか。いつするのか」と聞いても、「防衛秘密で部隊運用については答えられない」と非公表だ。

 特定秘密保護法ができたら−。PAC3の運用や火薬庫の現状を聞くこと自体が、特定秘密を入手しようとしたとして罪になる恐れもある。そうなったら何もできない。

 一〇年十二月に船橋市で実施した集会とデモは、防衛省直轄の情報保全隊に監視され、内部文書の「週報」にも記された。そういったことが日常化するのは非常に息苦しい。

 今回の法案は、日本版「国家安全保障会議(NSC)」とセットで審議されており、米国との軍事的な一体化を法的に担保すること、日米間の軍事機密を隠蔽(いんぺい)することが最大の目的だ。

 憲法で軍隊を持たないのに、どうして軍事機密があるかが根本的な疑問だ。憲法をないがしろにして、下位法で軍事機密を正当化してしまうのは許し難い。何としても阻止したい。

 日本維新の会やみんなの党は、あの程度の法案修正で与党に恩を売ったのでは。野党としての矜持(きょうじ)を持ってもらいたい。

 <よしざわ・ひろし> 1953年生まれ。埼玉大講師。市民ネットワーク千葉県政策調査室スタッフ。90年にチェルノブイリ事故の被災児童の救援NGOを立ち上げ、被災児童の日本での保養プログラムなどにも従事した。福島原発事故後は、それまで以上に脱原発の活動にも取り組む。船橋市薬円台在住。

 

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