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【埼玉】

保護法案衆院通過 県民怒りの声

 国民の「知る権利」を奪う恐れがある特定秘密保護法案が二十六日、衆院の特別委員会で強行採決の上、賛成多数で同院を通過した。「国民的な議論は尽くされていない」「法案は、役所の隠れみのを作るだけだ」。法案成立に反対する弁護士や県民からは怒りと疑念の声が渦巻いた。 (増田紗苗、谷岡聖史、花井勝規、中里宏、羽物一隆、上田融)

 法案成立に反対の声を上げてきた埼玉弁護士会の池本誠司会長は「国民の知る権利を侵害し、戦争への分岐点へとつながりかねない非常に重大な法律になる。国民的な議論がし尽くされないまま制定しようというのは国民主権を無視しており、深刻な事態だ」と厳しい口調で批判した。

 埼玉弁護士会は二十八日、さいたま市浦和区のJR浦和駅前で法案反対の街頭宣伝を行う予定。池本会長は「制定阻止に向けて最後まで訴えていく」と力を込めた。

 さいたま市などの街頭で、法案の是非を問うシール投票を実施してきた市民団体の高橋峰子さん(60)=戸田市=は「回答の七割近くが反対だった。国民の声を代弁するはずの国会議員が、国民の声を聞こうとせずに強引に進めた。今後もあきらめずに声を上げていきたい」と話した。

 「映画の作り手たちの表現の自由が狭められてしまうのでは…」と心配するのは、深谷市で市民が運営する映画館の館長を務める竹石研二さん(65)。「政府・与党は数の力で押し切った。優先するべきなのは原発や被災地の復興なのに時代に逆行している。いま必要なのは『公開』と『表現の自由』であり、『秘密』じゃない」といぶかった。

 川越市の整体師男性(68)は「知識人らが反対の声をあげ始め、世論が盛り上がる前に採決を強行したのだろう。安倍政権の対米追随路線が本格的に暴走し始めたと感じる。秘密がほしいのは軍需産業で、結局は金もうけが動機だ」と話した。

 秩父市の男性会社員(53)は「本当に必要な法律なのか、ピンと来ない。素人にも分かるような説明がなく、おまけに国会での強行採決を見ていると、法律の運用にも不安が残る」と眉をひそめた。

 県西部の自治体に勤務する公務員の男性(50)は「情報公開は役所にとってリスクがあるのは分かる。だが公開して世論の批判にさらされてこそ、新しい一歩を踏み出すきっかけになる。法案は役所に都合のいい隠れみのを作ってしまう」と指摘した。

 

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