「実の兄に一目会いたいと」11月26日 21時13分
60年前に生まれた東京の男性について、東京地方裁判所はDNA鑑定の結果から病院で別の赤ちゃんと取り違えられたと認めたうえで、「経済的に恵まれたはずだったのに貧しい家庭で苦労を重ねた」として病院側に3800万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
取り違えられた男性の弟の1人はNHKの取材に対し、「家族として、実の兄に一目会いたいという思いでこれまでやってきた」と述べました。
取り違えられた男性の弟の1人は、「母親が生前、『いちばん上の兄が自分の子かどうか違和感を覚える』と何度か話していたことが1つのきっかけになって、探し始めた。実の兄を見つけ出すまでは本当に大変で何度もくじけそうになったが、家族として、実の兄に一目会いたいという思いでこれまでやってきた」と述べました。
また、おととし、初めて連絡を取ったときのことについて、「実の兄は最初、詐欺だと思って信用してくれなかったが、自分の写真を手紙と一緒に送ったら『確かに似ている』と言って、ようやく会ってもらえた。実の兄は、本来育つべき環境で過ごすことができず、実の両親にも会えず、気の毒でしかたがない。父も母も無念だったと思う。こんなことが実際に起きていいのかと、病院には怒りを感じる」と話していました。
「なぜこんなにつらい人生なのか」
取り違えられた男性はNHKの取材に対し、「今まで長い間苦労をしてきて、何でこんなにつらい人生なんだろうと思っていた。取り違えが分かってからの数か月は毎日、涙が出た。こんなことがなければどんな人生だったのかを考えると悔しさが募り、病院に対しては怒りしかない。でも、苦しい生活の中でできる限りのことをしてくれた元の母親やかわいがってくれた兄弟には感謝の気持ちしかなく、複雑な思いもある」と話していました。
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