日本版NSC 記録には歴史の鼓動 公開を11月27日 14時58分
外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCを創設するための法律が成立しました。
日本版NSCの今後の運用について、日米の外交史に詳しい早稲田大学大学院客員教授の春名幹男さんは、モデルとなったアメリカのケースを踏まえ、積極的に記録を残し公開することで、過去の教訓を生かした責任ある政府の意思決定が可能になると指摘しています。
今から60年以上前の1947年にNSCを創設したアメリカでは、関連する資料が将来にわたって残され、一定の期間を経て公開されています。
この中には、ケネディ大統領当時の1962年10月、キューバへのミサイル配備を巡り、旧ソビエトとの核戦争の危機が高まった、いわゆる「キューバ危機」に、NSCがどう対応したのかの記録もあります。
そこには10月25日の会合で、ケネディ大統領が、強硬論もあるなか「国連の提案にソビエト側がどのような態度を示すのかはっきりするまで、いかなる衝突も避けるべきだ」と主張したと記されています。
その3日後、旧ソビエトのフルシチョフ書記長がミサイル撤去を表明し、危機は回避されました。
NSCで交わされた政府中枢の意思決定の記録が公開されることについて、春名さんは「残された関連文書の中には生々しい書き込みもあり、歴史の鼓動そのものが記録されているケースも多い。核戦争の危機が当時、どのように回避されたのかを知ることは、今の私たちが戦争を回避し、平和を求めるときの有益な歴史の教材になる」と指摘しています。
また、春名さんは「現在進行形の資料の公開は非常に難しいが、将来公開されることになれば、政府の担当者が歴史の検証に耐えるため、責任を持って全力で仕事に当たることになる」と指摘し、NSCの記録を積極的に残し、公開することは、失敗も含めた過去の教訓を生かした責任ある政府の意思決定につながるとしています。
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