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【愛知】

TAMAドラムに瀬戸の職人技 「鳴り」支える経験と勘

シェルの成型作業を行う本村さん=瀬戸市暁町の「星野楽器暁工場」で

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 国内外の一流ロックミュージシャンから支持されるドラムメーカー「TAMA」。このドラムは、瀬戸市暁町の「星野楽器暁工場」で作られている。国内大手ドラムメーカーの多くが海外で生産する中、数少ない職人がメード・イン・ジャパンを守り続けている。

 TAMAは、一九〇八(明治四十一)年創業の楽器製造販売業「星野楽器」(名古屋市東区)のドラム専用のブランドとして、七四(昭和四十九)年に誕生。現在、比較的廉価なドラムセットは中国・広州の工場で生産しているが、プロモデルと呼ぶ一式五十万円以上の高級品は、暁工場で製造する。

 愛用しているバンドは、米国の「メタリカ」や英国の「ブラック・サバス」、日本の「X JAPAN」、「Mr・Children(ミスターチルドレン)」などそうそうたる顔ぶれ。出荷先の九割は海外だ。

 TAMAのドラムは、太鼓本来の「鳴り」を重視し、円筒状の胴部分「シェル」の振動によって音を出す。生の音でも十分な存在感を発揮し、音のボリュームや耐久性の高さから、激しく演奏するハードロックやヘビーメタルのバンドから好まれている。

 暁工場では、三十代から五十代までの職人九人が、分業で月三百〜四百セットを生産している。工程は大きく分けて成型、研磨、塗装、加工、組み立ての五つ。手作業の部分も多く、一つの工程を覚えるだけでも三年はかかるといわれる。一人前のドラム職人になるには十年以上かかる。

暁工場で製造されているTAMAのドラムセット

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 音の根幹に関わるシェルを作る「成型」を行うのは、この道二十五年の本村彰美さん(50)。一枚の木の板を、熱や圧力によって円筒状に曲げていく。湿度や気温によって状態が微妙に変化する木を、割れないように真円に近づけるには、長年の経験と勘が頼りだという。

 本村さんは「納得のいくシェルができなかったら、一からやり直す。こだわらなければ日本で作っている意味がない」と妥協しない。

 来年、創業四十周年を迎えるTAMA。世界的ロックバンドの骨太なビートを支えるため、今日も骨太な職人たちが汗を流している。

 (渡辺健太)

 

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